御願神事で有名な菅生石部神社の夏祭りを「天神講」という。実家に近い神社なので、小さい時から欠かさず行っていた。母が町内で配布された祭りの抽選券をくれた。歳をとったら暑い中を出かけるのは難儀だという。
さて、抽選券を持って行った時、ちょうど小松工業高校のマーチングが始まった。
思わず聞き入ってというか、見入ってしまう。かっこいいのである。そして、子どもが楽器を一生懸命、みんなで演奏するというシュチュエーションに弱いのである。まず、「風になりたい」で、明峰のコンサートを思い出し、うるうるくる。殿と行ったことを思い出した。その後に、曲芸のような太鼓や指揮者の指揮棒の演技。次々と楽しませてくれる。
神社の境内の高いご神木も高揚している気がする。
ジッタリンジンの「夏祭り」で、ついに涙があふれてきた。「♪ 君がいた夏は 遠い夢の中 空に消えていった 打ち上げ花火 ♪」の、歌詞が演奏にのって頭の中に広がった。わたしがカラオケでよく歌って、殿がいつもにこにこ聞いていたことを思い出した。いつも、頭のどこかに蓋をして固めているのが、祭りの空の下でちょいと開いてしまったようだ。おまけに歌詞が突き刺さる。
殿は歌がうまいので、よくカラオケへ行った。最後に行ったのはいつだっただろう。
また行こうねと言って、叶わないのでyou tubeを枕元に置いて聞いたのはいつだっただろう。
わたしが女子高生なら、足の長い彼らをハートの目で見ていたかもしれないが、なぜか、足の短いおっちゃんと結婚したもんだと、ちょいと笑えた。「お互い様や」と、言われそうだ。
ひとりで観ていたのに、なんかそばにいるようだった。新盆が近づく。