Kさんの九谷焼工房へ遊びに行ったら、作業台の上にこの本が。
Kさんと本の趣味は違うが、時々面白いものに出会う。
「楡周平・・面白い?」
「うーーむ。まあ、読んでみね」
前にヒットラーが現代に生き返った話の本を読んだが、今回は帯を見て??
いきなり料亭で、政府の重鎮のやりとり。
「少子化は正しい。問題は長寿だ」
さて、この小説は小説現代で2017年6月号から連載されていた。
それを、2019年6月18日単行本として発刊。
今を完全に予測しているようで怖い。
まず、新型インフルエンザが発生し、離島でパンデミックが起きる。
このウィルスの名を「サリエル」と、言う。
2020オリンピックも抱えて政府はどう対応するか。
その中で何度も問われる人口増加、日本の健康保険制度の危機。
崩壊する日本経済。65歳以上が全人口の1/4を超え、2040年には、2.8人に1人が65歳以上となる中、次世代に解決不可能な問題を残すことになる。
楡周平は、すでに今を予測していた。
いや、政治家たちはみんな予測していて、知らないふりをしている。
騒げば、自分の議員生命は終わるからだ。
治療薬とワクチンが出来ても、優先順位がガイドラインとして決められていて、それを巡る政治家とマスコミとのやりとり。
まるで今を見ているようだが、結末が怖くて最後は読み進めるのが怖いのだが、一挙に読めてしまった。
読み終えて考え込んだ。
わたしたちが子や孫に残す大事なことは何なのだろう。
本当にオリンピックは日本に必要なのだろうか。
オリンピック自体が歪んでいないだろうか。
真摯に努力している若き選手たちの期待に添えるだろうか。
残った箱モノはどうなるのだろうか。
若い人たちは、政治家の言葉をきちんと聞き分けて、大事な1票を投じなくてはならない。しかし、その投じるべき政治家がどこにいるのだろう。