goo blog サービス終了のお知らせ 

カレーなる日々 / शानदार दिन

インドの日常を中心に日々を綴っています。

「赤い指」東野圭吾

2023年02月15日 21時32分59秒 | 本 / BOOKS

2006年に刊行された東野圭吾の推理小説で、
刑事・加賀恭一郎が練馬署にいた頃の話。

さもありなんと言う、家族の関係を描いたものだが、
親子の愛は屈折して間違った方向に進んでしまう。

何処にでもいるようなサラリーマン前原昭夫は、
妻の八重子と一人息子で中学3年生の直巳と、
母親の政恵と四人暮らしである。

ある金曜日、残業をしていると八重子から電話が入る。
なんでもいいから早く帰って来いと・・・。
ただならぬ様子に昭夫が帰宅すると、
自宅の庭でビニール袋をかけられた幼女の死体を発見する。

昭夫は驚くがすぐに直巳がやった事だと気づき、
八重子と相談して遺体を公園のトイレに遺棄する事にする。

昭夫は仕事にかまけて母親を八重子に押し付けた事と
情緒不安定な直巳の教育やしつけから目を背けた事に
負い目を感じているため、直巳を溺愛する八重子が、
犯行を隠蔽しようと言うと、押し切られてしまう。

深夜に遺体を遺棄しに行った昭夫は、
八重子と犯行を隠すためにシナリオを考える。

捜査にあたる加賀は従弟の松宮刑事と組む事になるが、
新米の松宮に独自の推理や捜査方法を教える。
上司たちも松宮を育てるために加賀のやり方を支持する。

加賀は最初の段階から前原家に疑いを持ち、
前原家を調べ始める。

遺体の遺棄が昭夫だと裏づけられると、
昭夫は母親の政恵が認知症である事を利用し、
直巳の犯行を政恵がやった事にする。

ところが加賀は政恵が認知症の演技をしている事を見抜き、
昭夫の妹の春美に協力を求め、昭夫が真実を白状するように
仕向けて行く。

 初めから犯人が誰だか判っていた加賀が、
 昭夫と八重子に、親子の愛とは何かを気づかせる。
 犯行を暴くというより人間の心に訴えて行くくだりが、
 この世知辛い世の中に沁みて行く。

 昭夫と八重子の直巳に対するねじ曲がった愛と、
 政恵の昭夫に対する、間違った事を戒めようとする気持ち、
 そして背景となっている加賀と加賀の父親との関係が、
 3つ巴となって押し寄せてくるのだった。

 2011年に阿部寛主演でドラマ化されているが、
 けっこう、はまり役の様だ。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする