カレーなる日々 / शानदार दिन

インドの日常を中心に日々を綴っています。

「晩秋行」大沢在昌

2023年02月05日 21時42分59秒 | 本 / BOOKS

2022年発行の大沢在昌の最新刊である。

ガチガチのハードボイルド作品ではなく、
なんて言うのかな・・・・ちょっとノスタルジックで、
センチメンタルな感じになるのは、おそらく・・・
私が主人公たちと同じバブルを生きたからであろう。

主人公は居酒屋の主人である円藤(62歳)。
30年前は地上げ屋だった男である。
バブル景気で日本中が踊っていた頃だ。

ある日、円藤の元に地上げ屋だった頃の同僚で
作家になった中村から電話が入る。
「フェラーリの250カリフォルニア・スパイダーを見た人がいる。」

 この車は1953~64年にかけてフェラーリが生産した車で、
 V12気筒の2953cc。そもそも100台くらいしか
 造られておらず、現在でも20億円もの値が付くらしい。
 スティーブ・マックイーンも乗っていた名車。

円藤が地上げをやっていた時に総帥と呼ばれた二見は、
バブルが崩壊し逃げるように(逃げたのだが)姿を消した。
このフェラーリに乗って・・・。

フェラーリが目撃されたと言う事は二見は生きているのか?
円藤は当時の恋人のホステスが二見と一緒に逃げた事で、
二人を恨んでいた。自分は二股かけられていたと思っていた。

円藤は中村と一緒にフェラーリを追うが、
中村は事故なのか事件なのかに巻き込まれて焼死してしまう。

フェラーリは全てを失った二見が巻き返しを図るために、
手元に残したわけだが、希少なため目立ってしまう。
地上げはヤクザも絡んでいたわけで、
車で損失を取り戻そう考える者もいた。

円藤は二見や車に大きな興味はなく、
昔の恋人の消息を知るためにフェラーリを追う事になる。

30年前に消えたフェラーリから
円藤の30年間の想いが蘇ってくる。

 円藤と同じ時代を生きていた人なら、
 境遇は違えど円藤の気持ちはよく解る。
 誰もが熱に浮かされ自分を見失っていた時代。

 私もそこまではいかないけど・・・・
 車乗ってたしなぁ(笑)。
 ブランド物のスーツとか来てたしなぁ(笑)。
 行きつけのバーのカウンターでバーボン飲んでたしなぁ(爆)。
 若かったから怖い物なかったなぁ。

 バブルを知る人は読まれたし。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする