読売新聞 2月21日(火)20時36分配信
霊長類では世界初で、臨床応用に向けて大きな一歩となる成果。米科学誌ステムセルズ(電子版)に発表した。
パーキンソン病は、脳の神経伝達物質ドーパミンが不足して、手足の震えや歩行困難などの症状を起こす神経難病。
ES細胞は、受精後約1週間たった受精卵から内側の細胞の一部を取り出して培養してつくる。研究グループは、ES細胞を42日間かけて神経の元になる細胞に変化させ、ドーパミンを分泌する細胞が35%含まれる細胞の塊をつくった。これらをパーキンソン病のカニクイザル4匹の脳に移植し、1年間かけて観察した。
その結果、6か月後には手足の震えがなくなり、おりにしがみついて1日中動けなかった状態から、時々おりの中を歩き回るまで症状が改善した。脳内を調べたところ、正常な神経細胞ができていた。
厚生労働省は、ES細胞や同じように様々な細胞に変化できるiPS細胞(新型万能細胞)の臨床研究について、体制作りを進めている。研究グループは、すでにiPS細胞でもサルの脳への移植実験に成功しており、高橋さんは「さらに安全性を高め、早ければ3年後に臨床研究を開始したい」と話している。 』
概説
症状
[1]「<script type="text/javascript"></script> 振戦<noscript></noscript>」とは、ふるえのことです。パーキンソン病のふるえは、指からはじまることが多く、手、腕、脚、顎(あご)などにみられます。親指と人さし指の腹をすり合わせ、「丸薬を丸め」たり、「お金の勘定」しているようにみえます。リラックスした状態でみられるのが特徴的です。
[2]「無動」とは、のろくぎこちない動作になることです。瞬(まばた)きが少なくなって表情が固くなったり、声が小さくなったり、字を書いているうちに小さくなっていったりします。パーキンソン病の歩き方は独特で、前かがみになって、顎がちょっと突き出し、歩幅が狭くなります。
[3]「固縮」とは、手足の筋肉が硬くなることです。医師が患者さんの肘や手首をとって動かすと、すべらかに関節が動かず、がくがくした感触を受けます。
[4]「姿勢反射障害」は、立っているとき、何かの弾みで姿勢が揺らいだときに、普通は倒れずに瞬間的に姿勢を立て直すことができますが、それができずに倒れこんでしまうことです。歩いていると加速がついて、自分の意思では止まれなくなるということもあります。
パーキンソン病では、症状のはじまり方に特徴があり、右手のふるえというように、多くは片側から出現し、その後右手から右足というように広がっていきます。他に、立ちくらみ、頑固な便秘、頻尿(ひんにょう)や残尿(ざんにょう)などの<script type="text/javascript"></script> 自律神経症状<noscript></noscript>があります。症状が進んでくると、意欲が低下したり、幻覚、妄想などの<script type="text/javascript"></script> 精神症状<noscript></noscript>、<script type="text/javascript"></script> 認知<noscript></noscript>症が認められることもあります。
診断
パーキンソン病とパーキンソン<script type="text/javascript"></script> 症候群<noscript></noscript>との大きな違いは、パーキンソン病では薬が効くことです。薬の効き具合がよければ、最終的にパーキンソン病の診断に至ります。ただし前述のパーキンソン病以外の神経<script type="text/javascript"></script> 変性<noscript></noscript>疾患では、発病早期には効果が認められる場合もあり、経過を注意深くみていく必要があります。
※文中にあるオレンジ色の文字にカーソルを合わせてクリックすると、用語の説明が表示されます。