曲学阿世:真実を追求し、虚実の世間に迎合するようなことはしたくない。
真実を曲解し不正な情報によって世間の人々にこびへつらい、世間にとり入れられるような、ことはしたくない。
植草一秀の『知られざる真実』」
2019/12/23
数合わせ野党合流では支持を得られない
第2512号
ウェブで読む:https://foomii.com/00050/2019122313480961972
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第2次安倍内閣が発足してから7年の時間が経過したが、現状を放置するわけ
にはいかない。
2020年に衆院総選挙が実施される可能性は高い。
安倍政治を終焉させて日本政治を刷新することが必要だ。
年末に向けて恒例の野党離合集散が観察される可能性があるが、主権者は基本
を踏まえた対応を示す必要がある。
その基本とは何か。
それは政策を基軸にすることだ。
政策を基軸に安倍自公への対抗軸を構築する。
旧民主党、旧民進党への回帰が観察されているが、この動きには政策基軸とい
う軸が見えない。
それぞれの組織に所属する議員、議員候補者が、自分の身分の安泰を追求して
いるだけであるようにしか見えない。
何が原因で民進党が立憲民主と国民民主に分離、分裂したのか。
政策路線の相違を理由に旧民進党が分離・分裂したのなら極めて健全だ。
主権者は民進党の立憲と国民への分裂を、政策路線の相違に基づく分離・分裂
であると理解した。
これこそ、旧民主党、旧民進党が抱えていた宿痾(しゅくあ)だった。
水と油の同居状態が解消することが真の野党勢力結集に必要不可欠だった。
旧民主党、旧民進党には革新勢力と守旧勢力が同居していた。
鳩山内閣は旧民主党に潜んでいた守旧勢力=隠れ自公勢力によって破壊され
た。
菅直人内閣と野田佳彦内閣は旧民主党内の隠れ与党勢力が創設した自公とその
背後に控える日本の支配勢力の傀儡政権だった。
その水と油の同居体であった旧民進党が分離・分割したことは日本政治刷新に
向けての重要な第一歩になった。
革新勢力としての立憲民主党が他の革新勢力を糾合して本当の意味の野党連合
を構築することが期待された。
ところが、この立憲民主党が主権者の期待にまったく応えていない。
あろうことか、袂を分かった国民民主党と合流することを検討している。
これでは立憲と国民への分離・分裂の説明がつかない。
その合流に際して、
消費税の廃止あるいは5%への減税
原発稼働即時ゼロ
の二点についても政策公約を明確にできない。
日本の支配者である米国巨大資本は、日本の二大政治勢力体制を自公と第二自
公の体制にしたいと考えている。
立憲と国民の再合流はこの日本支配者の意向に沿う動きと捉えられる。
基本政策路線に大差のない二つの政治勢力が併存し、その間で仮に政権交代が
実現しても、基本政策路線の転換を期待することはできない。
これは安倍政治刷新を求める主権者の意向に沿うものでない。
したがって、安倍自公に対峙する政治勢力の結集に際しては、必ず、基本政策
路線の公約をベースにする必要がある。
「政策基軸」こそすべての基本に置かれるべきだ。
その基本政策として掲げるべきものは、
1.平和主義
2.原発稼働ゼロ
3.共生主義
である。
共生主義を体現する経済政策の基本公約は
1.消費税廃止へ
2.最低賃金全国一律1500円政府補償制度確立
である。
この基本政策を共有する連合体=政策連合を構築することが求められている。
次の総選挙で直ちに衆院過半数議席を獲得することはできないかも知れない。
しかし、「急がば回れ」だ。
政策を基軸にして「政策連合」を地道に築き上げる。
年末に際して、この方針を明確にしておきたい。
安倍政治の下で日本経済に重大な変化が広がっている。
安倍内閣は株価上昇、企業利益拡大をアベノミクスの成果だとしてアピールす
る。
たしかに日経平均株価は2012年末の水準から3倍の水準に上昇した。
法人企業の利益も2倍以上に拡大した。
この面だけを安倍内閣は強調する。
しかし、ものごとには表と裏、陽と陰がある。
日本経済全体の推移を示すのが実質GDP成長率だが、第2次安倍内閣発足後
の実質GDP成長率(四半期、前期比年率)平均値は+1.3%に過ぎない。
これは民主党政権時代の+1.7%を大幅に下回る。
日本経済全体の総合成績は抜群に悪い。
それなのに企業利益が倍増し、株価が3倍に上昇した。
これはとりもなおさず、労働者の苦しみの反映である。
経済が超低迷を続けるなかで、労働者への分配所得を圧縮して企業利益だけを
倍増させたのだ。
労働者一人当たりの実質賃金は第2次安倍内閣発足後に5%も減少した
安倍内閣はこの下で、税制においても労働者を苦しめて大企業と一握りの富裕
層にだけに利益を供与した。
消費税が導入された1989年度から2019年度までの31年間の税収推移
を見ると、消費税収累計額が397兆円であったのに対し、法人三税の減収累
計額が298兆円、所得税・住民税の減収累計額が275兆円である。
消費税で397兆円の負担増を庶民に強いる一方で、大企業と富裕層を中心に
573兆円の税負担軽減が実行された。
すべての消費税収に180兆円も上乗せして大企業と富裕層の税負担軽減を実
行したのだから、社会保障に回すお金は残らない。
消費税を増税し、さらに社会保障を切り刻むという蛮行が強行された。
一年を通じて働く労働者の22%が年収200万円以下の領域に追い込まれ労
働者の55%が年収400万円以下の領域に追い込まれている。
この状況下で何が必要かは明白だ。
消費税を廃止して、大資本と富裕層に適正な税負担を求めるべきだ。
これを実施するだけで消費税を廃止できる。
大資本と富裕層への課税を適正化すれば社会保障制度を切り刻むことも必要で
はなくなる。
安倍自公に対峙する政治勢力の結集を図るに際して、まずは消費税に関する公
約を共有するべきだ。
消費税廃止で足並みを揃えるのが難しければ、まずは、消費税率を5%に引き
下げることを共通公約にしてもいいだろう。
合流話の立憲や国民の勢力には、旧民主党で消費税増税法制定を強行推進した
者が含まれている。
これらの者が過去を否定し、懺悔することなくして新しい政策公約を共有する
ことはできない。
立憲と国民の裏側に「連合」という組織が存在する。
この連合こそ、消費税増税と原発稼働の推進者だ。
したがって、連合は安倍自公に対峙する主権者の側に立脚する存在ではない。
連合は「隠れ自公勢力」であり、旧民主党の「水と油体質」を生み出した元凶
だ。
立憲と国民が合流しても、安倍自公政治に対峙する主権者はこの新勢力をまっ
たく支持しないだろう。
すでに国民の支持率がないに等しい状況に低落しているが、立憲も国民と合流
すれば支持率を完全に失うだろう。
仮に立憲と国民が合流するならば、主権者はこれを奇貨として、本当の意味の
野党勢力結集を推進しなければならない。
れいわと共産党を軸にして、政策を基軸に、主権者と政治勢力の大連帯を構築
する。
これが「政策連合」だ。
安倍政治の下で圧倒的多数の主権者が下流に押し流されている。
若者は未来に夢と希望を持つことができない。
出生率が下がり続ける国に明るい未来は到来しない。
この日本社会を「誰もが笑顔で生きてゆける社会」に改変する。
何よりも大事なことは、すべての主権者に保障する最低ラインを大幅に引き上
げることだ。
これが「ガーベラ革命」だ。
「政策連合」を構築して新しい政権を樹立し、ガーベラ革命を成就する。
これが新しい年に向けての基本方針になる。