タクシー業界、倒産件数が2年連続で増加 「過去最悪」に迫る水準に
タクシーの台数不足が深刻化している。帝国データバンクが負債1000万円以上の法的整理による倒産を調査した結果を発表し、2023年度は33件の倒産があったことが分かった。2年連続で前年度を上回り、これまで最多だった11年度(36件)に迫る水準だ。
タクシー業界は、コロナ禍に発生した利用客減少による需要の急減から立ち直りつつある。一方で燃料代の高騰が収益を圧迫し、経営環境は厳しさを増している。23年度における倒産のうち、半数を「物価高倒産」が占めたほか、同年度の業績が判明したタクシー業のうち、半数超が燃料高などを理由に赤字や減益など業績悪化に直面している。
直近では、需要増にもかかわらずドライバー不足で営業が困難になる形で経営破綻が目立ち始めた。1月に破産した愛知県の「毎日タクシーグループ」はコロナ禍での需要減に加え、ドライバーの高齢化や不足から運行に行き詰まり事業継続を断念した。
慢性的なタクシー不足に対し、代替交通手段として配車アプリを活用したライドシェア制度が部分的に解禁された。今後、タクシー運行をどのような立ち位置で存続させるのか、利用者・タクシー会社ともに再考すべき時期に差し掛かっているといえる。