「食品業」の倒産が、2年連続で増加している。東京商工リサーチが調査結果を発表し、2023年度は653件発生した。コロナ禍からの業績回復の遅れに加え、価格転嫁が進まず、経営に行き詰まる食品業の苦境が浮き彫りとなった。

 倒産件数が600件を超えたのは、19年度(779件)以来、4年ぶり。業態別に見ると卸売業241件(同10.5%増)、小売業236件(同26.8%増)などを筆頭に、全ての業態で件数が増加した。新型コロナウイルスに関連した倒産は288件(同7.4%増)、物価高に関連した倒産は102件(同43.6%増)だった。

 業種別の最多は「農畜産物・水産物卸売業」(142件)で、2年連続で前年度を上回った。そのほか「鮮魚小売業」(20件)が3年連続、「野菜缶詰・果実缶詰・農産保存食料品製造業」(17件)、「食料・飲料卸売業」(99件)、「野菜・果実小売業」(21件)などは2年連続で前年度を上回った。

 地区別に見ると、「北海道」と「北陸」を除く7地区で増加した。「関東」(200件)、「中部」(86件)、「近畿」(119件)、「九州」(82件)では、それぞれ2年連続で前年度を上回った。また「東北」(57件)は2年ぶり、「中国」(43件)と「四国」(24件)は4年ぶりに前年度を上回った一方で、「北海道」(33件)は3年ぶり、「北陸」(9件)では2年ぶりに前年度を下回った。

 都道府県別では、29都府県で倒産件数が増加し、16道府県で減少。同数は2県だった。増加率が最も大きかったのは「青森」で433.3%増(16件)、最も減少したのは「神奈川」で28.9%減(27件)だった。

 日本産業分類の「09食料品製造業」「10飲料・たばこ・飼料製造業」「52飲食料品卸売業」「58飲食料品小売業」で23年度の倒産(負債1000万円以上)を集計、分析した。