大地震が起きれば火災の心配だけでなく、津波に襲われる危険もある。津波の危険に対し、協会の防災基本計画では、

 

「夢洲は下記(ウ)のとおり津波・高潮対策のため嵩上げされており、夢洲への浸水被害は夢洲周辺部に限られる想定となっている」

 としている。

「夢洲の地盤高はO.P.(編集部註:大阪湾最低潮位)+11mであり、満潮時の津波予想高さO.P.+5.4mに対して5m以上の嵩上げを行っている」 だが、もしも会場内に想定以上の津波が押し寄せてきた場合には逃げ場がないのがこの会場の特徴である。小高い山があるわけでもなく、逃げ場となる高い建物もない。となれば“運を天に任す”という神頼みしかないのだ。

 それだけに避難路の確保は絶対条件だと思うのだが…。

 万博を開催するに当たって、万博協会は国際万博協会に対して安全・安心な開催をアピールしていた。夢洲とアクセスできる夢舞大橋が4車線なのを6車線にするとの計画書もあったが、それも実現はしていない。

 また、会場内には小型船の桟橋や中型船の桟橋が整えられる予定であることも記されていたが、今回の計画書ではこの計画はすっぱりと削られてなかったことになっている。

「以前は、夢洲近くの南港やUSJ近くの岸壁などから定期船を往復させる計画がありましたし、神戸空港や関西空港と結んだりする計画もあったんです。実現すれば災害時に観客の避難にも利用できます。

 しかし、この防災基本計画ではその件に全く触れられていません。道路が通行止めになり、鉄道も運行停止になってしまったら夢洲は孤立してしまいます。10万人の来場者が取り残されたまま火災が起きたらどうなりますか? 一応会場内にはヘリポートもありますが、到底避難させられる数ではないのですから当てになりません。関東大震災では東京の下町で火災による10万人規模の犠牲者が出てしまいましたが、そのような懸念が残ったままなのです」(前述・府政担当デスク)

 これだけリスクがあるのに開催に突き進むのは「無謀」と指摘されても致し方ないのではないか。