「第4波」へ兆し、高まる懸念=宮城・関西注視―まん延防止、近く検討・政府
時事通信2021年03月27日20時07分
新型コロナウイルス対策の緊急事態宣言の全面解除から28日で1週間。各地で再び新規感染者が増え、リバウンド(感染再拡大)が表面化しつつあり、「第4波」につながりかねない状態だ。政府は宣言に準じた対応が可能な「まん延防止等重点措置」適用の議論を近く本格化させる。
「非常に危機感を持っている」。26日の記者会見の冒頭、田村憲久厚生労働相は現在の感染状況に強い懸念を示した。
特に警戒するのが宮城県と関西圏。宮城は3月以降に新規感染者が急増し、24日には171人と過去最多を記録。内閣官房の資料(25日時点)で新規感染者の指標は緊急事態宣言が必要な「ステージ4」に該当する。隣接する山形県も25日に新規感染者が過去最多となった。
2月末での宣言解除後は1日数十人程度で推移した大阪府でも、27日には386人に。兵庫県は164人で、いずれも解除後最多となった。内閣官房の資料では、兵庫県は25日時点で病床使用率がステージ4に達した。
感染力が高いとされる変異ウイルスが広がる中で「第4波」を許せば、これまで以上の感染爆発につながりかねず、始まったばかりのワクチン接種に支障を来す恐れが強い。政府は週明け以降、厚労省の専門家会合などを開催。感染拡大に歯止めがかからなければ、まん延防止措置の宮城、関西圏適用も視野に検討を始める方針だ。同措置の対象地域に指定された都道府県の知事は、事業者に営業時間短縮などの要請・命令が可能となり、違反には行政罰の過料が科される。
21日で宣言が解除された首都圏は社会・経済活動が活発化。25日の東京都のモニタリング会議は、花見や歓送迎会で人出が増えれば「(昨秋からの)第3波を超える感染の拡大が危惧される」と警鐘を鳴らした。
政府高官は昨年5月の1回目の宣言解除時の状況と比較し、「新規感染者数はなお桁違いに多い。放置すれば4月に3度目の宣言を出す事態になる」と漏らす。愛媛、沖縄両県も感染者の増加傾向が顕著だ。
年末年始、営業時間短縮要請などをめぐり政府と東京都の足並みが乱れ、対策の遅れにつながったと指摘された。「第4波」阻止は国と自治体の連携がカギとなるため、政府は各知事との調整も進める。