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諸田玲子著 「狐狸の恋」

2018年10月19日 19時17分21秒 | 読書記

図書館から借りていた 諸田玲子著 「狐狸の恋(こりのこい)」(新潮文庫)を 読み終えた。
「お鳥見女房」「蛍の行方」「鷹姫さま」に続く「お鳥見女房シリーズの第4弾目」の作品だ。

諸田玲子著 「狐狸の恋」

第1話 この母にして、
第2話 悪たれ矢之吉、
第3話 狐狸の恋(こりのこい)、
第4話 日盛りの道(ひざかりのみち)、
第5話 今ひとたび、
第6話 別の顔、
第7話 末黒の薄(すぐろのすすき)、
第8話 菖蒲刀(しょうぶがたな)

代々 御鳥見役を務める矢島家の家付き女房珠世(たまよ)を主人公とする、情緒あふれる人情時代小説 「お鳥見女房シリーズ」の第4弾目の作品だ。
前作では、剣客浪人石塚源太夫一家が、稲垣対馬守に仕官叶い、その屋敷内に引っ越したり、次女君江が 次男久之助の幼馴染隼人と結ばれ 御徒目付け菅沼家に嫁いだりして 矢島家は 急に少し寂しくなった。
しかし 相変わらず 次々と問題が起こり その都度 珠世は 両頬にえくぼが出来る 持ち前の明るさと機転で対処、乗り越えていく。
母親として、妻として、武家の女房として こんな魅力的な女性がいて いいものかと思う程だ。
実父久右衛門、夫伴之助 嫡男久太郎、次男久之助、夫々にも 苦悩や問題が有り、珠世は 温かく包み込むように見守り、
関わり合う人達皆にも きめ細やかな情愛を注ぐ珠世である。
珠世の目下の最大の心配事は 久太郎、久之助の行く末や 結婚問題。
母親としては当然ながら 余計な口出しをせず 大きな度量で 温かく見守り しっかりフォローする姿がある。
本作品では 逞しく成長著しい嫡男久太郎と、次男久之助の恋愛の行方や、自らの道を切り開く活躍の場面が多く描かれるいる。
登場人物のキャラクターが明確でイメージし易く、相関関係も分り易く その展開が小気味良い。
紆余曲折有った後に 矢島家には 嫡男久太郎が自ら選んだ鷹姫さまが嫁いでくることになり、次男久之助は 綾と祝言を挙げ 他家に養子に行くことが決まっところで この物語が終わっている。「息子たちには どのような明日が待っているのか。四角い箱の蓋を開け 珠世は古ぼけた武者人形を抱き上げた」
「巣立ち」に 続く。