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畠山健二著 「本所おけら長屋(十六)」

2022年05月04日 15時30分50秒 | 読書記

図書館に、昨年の9月25日に予約(リクエスト)していた、畠山健二著 「本所おけら長屋(十六)」(PHP文芸文庫)が、やっと順番が回ってきて、先日借りてきて読み終えた。


お江戸本所亀沢町にある貧乏長屋「おけら長屋」の住人、万造松吉の「万松コンビ」を筆頭に 左官の八五郎お里夫婦、粋な後家女お染、浪人の島田鉄斎、大家の徳兵衛、等々、個性豊かな面々が 貧しいくせにお節介で人情厚く、次々巻き起こる問題、事件、騒動を笑いと涙で体当たりし、まーるく収めていくという 人気の「本所おけら長屋シリーズ」の第16弾目の作品だ。まるで江戸落語を聞いているようなテンポ良い会話、小気味良い文体、随所で笑いが堪えられなくなったり、思わず泣かされてしまう、人の優しさが心に沁みる時代小説、一気に読める作品だと思う。
(注)真夜中に読まない方がいいかも知れない。一人で ゲラゲラ笑い出したりしまったり、鼻をすすったりする爺さんは なんだか不気味、気が触れたか?と 勘違いされる恐れ有り。

畠山健二著「本所おけら長屋(十六)」

本書には 「その壱 くらやみ」「その弐 ねんりん」「その参 せいひん」「その四 あいぞめ」の連作短編4篇が収録されている。

「その壱 くらやみ」
江戸で連続殺人事件が発生、10年前の髪切り魔、連続殺人事件との関わりは?、下手人は?、お茂登?、藤十郎?、南町奉行所同心伊勢平五郎と密偵役お美弥、おけら長屋の、万造、松吉お染島田鉄斎お染お満等が、真相究明に乗り出すが・・・。
平五郎とお美弥、鉄斎とお染・・、「なあ、松ちゃん、あの二人をどう思うよ」・・・、「いいねえ。大人の男と女てえのはよ。お互えの心の中にある暗闇を突っつこうともしねえし、掘り返そうともしねえ。丸ごと包み込んでるのよ。とても、おれたちにできる芸当じゃねえや」「まったくだぜ。十年早えや」・・・。

「その弐 ねんりん」
おけら長屋の住人の溜まり場は、酒場三祐。お栄が言った「馬鹿を見るよ」の「馬鹿」から、八五郎がやっと思い出したのは、飯田屋の放蕩息子弥太郎の話、弥太郎は、元博徒の元締め三津五郎を、「本物の男の姿」と惚れ込んでしまい、そんな男になりたい一心で、立ち振る舞っているが・・・。そんな弥太郎を使って、骨董で一儲けを企てる万造松吉?・・、、なんとも愉快、落語的、その結末は?

「その参 せいひん」
おけら長屋の裏の金閣長屋に現れた痩せこけて記憶喪失?の老人を引き取ったおけら長屋の面々、さすが、お節介と人情で名高いおけら長屋・・・、ではあったが、・・、貧乏神?、万造松吉まゆつばの田五郎が儲け話を企てたが・・・、真相明らかになってしまい・・・、2年前の海難事故、林屋省五郎の泣ける話、お恭と猟師?、
万造、松吉に、喬丸「お前さんたちは、ただの貧乏人ではない。立派な清貧だ」「清らかで、美しい貧乏ということだ。そうですよね、島田さん」
お恭と猟師に、鉄斎は鼻の頭を掻いた。「あなたたちが助けてあげたお爺さんは、福の神だったということです」

「その四 あいぞめ」
下村屋の次女お佐和と松下屋の手代宗助は、将来を約束していたが、重要な取引先である藍美屋の春之助から求婚されてしまったお佐和が、お満に相談。お満が、春之助に直談判したことから大波乱。お満のために、おけら長屋の面々が、問題解決に体当たりするが・・・、お満に危機・・、
春之助はそう言うと、音もなく合口を抜いた。
走る万造、鉄斎が駆けつけ・・、実は、春之助は・・・・。真相が明らかに・・。
お満は、万造の腫れあがった額に薬を塗る。「でも、嬉しかった。初めてだよね。私のことを「お満」って呼んでくれたのは」


(参照)→ PHP研究所(PHP文庫)「本所おけら長屋シリーズ」


次作「本所おけら長屋(十七)」も、予約(リクエスト)済みだが、人気が高く、順番が回ってくるのはいつのことやら、またしばらくは 「本所おけら長屋シリーズ」とはお別れになりそうだ。


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