足腰大丈夫な内に出来る限り、不要雑物処分・身辺片付け整理をしよう等と思い込んでからすでに久しいが、正直なかなか進んでいない。それでもここ2~3年には、押し入れや天袋、物置、書棚等に詰まっていた古い書籍類をかなり大胆に処分してきた。ただ、中には「これ、面白そう・・」等と目が止まり、残してしまった書籍もまだまだ結構有る。その中に 漫画家赤塚不二夫著、元東京学芸大学附属高等学校教諭石井秀夫指導の古典入門まんがゼミナール「枕草子」(学研)が有る。多分、長男か次男かが、受験勉強中に使っていた「枕草子」の解説本・参考書の一つのようだが、錆びついた老脳でもなんとか読めそうな、まんがで描いたくだけた内容、その内いつか目を通してみよう等と仕舞い込んでいたものだ。ながびく新型コロナ禍、不要不急の外出自粛中、ふっと思い出して、やおら引っ張りだしてみた。当然のこと、本格的な「枕草子」解説本、参考書とは異なり、限られたサワリの部分に絞ったものであるが、学生時代に多かれ少なかれ齧っていたはずの日本の代表的な古典、清少納言の「枕草子」も、ほとんど覚えていないし、「古典」に疎く、苦手な人間には、十分楽しめそうで、御の字の書である。(以上 過去記事コピペ文)
「ワテの愛する季節どす」・まんがゼミナール「枕草子」その5
第200段 「野分のまたの日こそ」
台風一過の後の庭の情趣と情感を描いた随想の段。台風のために荒らされた痛ましい庭の情景を描きながら、格子のさんに吹きちぎられた木の葉が吹きたまっている情景に興味を抱く等、清少納言の細やかで鋭い観察力がうかがえる。
(ゴー、ゴー、ヒュー、ヒュー、メリッ、メリッ・・・)
野分やなあ。明日の朝がたのしみや。
野分の明くる日こそ、えろう趣があって、よろしおます。
ほほっ!、格子の目に木の葉が1枚ずつ入っとる。
とてもあの乱暴な風のしわざとは思えへん!、
菊明婦と妻蘭乙女がしたことみたいや!、
あらっ・・・、つやの取れた濃紫の衣、黄枯れ葉色の織物や薄物の小桂を着た、
まじめそうで、あか抜けた人。
むべ 山風を・・・・、
センスのある人や・・。
おや!、またかわいい子供とも見えず、大人と見るわけにはいかへんけど、
ワテも後片付けしたいわあ・・・。
(わあっ!、見ーつけた。いーもん、見ーつけた)
(くりに くるみに かやの実やっ!)
えっ!、恐ろしげなのは くりのいが!
せやけど・・・・、
ワテにも拾わせてーっ!
原文だよーん
野分(のわき)のまたの日こそ、いみじうあはれにをかしけれ。
立蔀(たてじとみ)、透垣(すいがき)などの乱れたるに、
前栽(ぜんさい)ども、いと心くるしげなり。
大きなる木どもも倒れ、枝など吹き折られたるが、
萩(はぎ)、女郎花(おみなえし)などの上に、
よころばひ伏せる、いと思はずなり。
格子の壺などに、木の葉をことさらにしたらむやうに、
こまごまと吹き入れたるこそ、
荒かりつる風のしわざとは覚えね。
(注釈)
台風の過ぎ去った翌日こそは、ひどく身にしみて趣き深いものである。
立蔀や透垣などが、風のために乱れている庭に、
植え込みの草木が、実に痛々しそうになっている。
大きな木もたくさん倒れ、枝などの強風で吹き折れたのが、
萩や女郎花などの上に横にころび倒れているのは、
本当に想像外のひどい状態である。
格子のます目などに、わざわざ木の葉をきれいに並べたように
ひとこまひとこま細かく吹き入れてあるのは、
あんなに荒々しかった風のしたこととは思われないほど、
すばらしい。