文春文庫 1983年
日本に降り立った外国人がにおうのはしょうゆ
のニオイだということらしい。そういわれてみ
れば、しょうゆクサイ、そんな気がしないわけ
でもない。けど、しょうゆ嫌いな日本人はいな
いわけで。
高峰女史は十代のころから骨董屋に出入りして
いたとかで、古物がお好きらしい。
高峰女史くらいになると、街にでてもうるさい
だろうし、丁度いい非難所になった、と語って
いる。
この本には一編ずつ、写真があって、イメージ
している通りであったりする。いいものに囲ま
れている人は、いい人間になれるのかもしれぬ。
高峰女史のみせるときたまみせるはすっぱな文
章がとても好もしい。上品ぶっているより数段
良い。人間自分に正直に生きるのが、一番良い
よ、と言われたような気がした……合掌。
(鶴岡 卓哉)