文春文庫 平成16年
天安門事件に遭遇したことが描かれているから、この
本が直截書かれたのは、1989年以降ということに
なろう。
安野光雅氏(昨日、亡くなられた)、藤田嗣治氏、梅原
龍三郎氏などの画伯との交流について書かれるが、その
どれもがおもしろい。
高峰女史はセレブ不良といった趣があり、そこらへんが
作品をおもしろくしている、マジメじゃなく、すれてい
るのだ、いい感じに。
カレーについても書かれていて、ボクもカレー作りが趣
味なので、なお一層熱が入りそうである。
善三氏は病気が趣味だったとかで、あらゆる病気をやった
とか。
高峰女史も死んでしまったが、この作品は四十代から
50で書かれたらしい。いい仕事を残されたと思う。
いや、映画にしても。この人にしか書けない世界って
もんがあるようだ……合掌。
(鶴岡 卓哉)