「探偵ガリレオ」東野圭吾 文春文庫
テレビドラマでおなじみの「ガリレオ」です。
今、大変ヒットしているようですが、なるほど、本を読むと、テレビ向け脚色のからくりがよく見えるところも、またなかなか興味深いですね。
つまり、頻繁に湯川助教授に捜査のヒントを授かりに通う刑事、柴咲コウは、原作では男性、草薙俊平。
テレビドラマとしては確かに、これではあまりにも花がない。
しかも月9ですもんね。
それと驚くのは、巻末の解説で作者東野圭吾は、俳優佐野史郎をイメージして湯川学を描いている、とある。
ひゃー、福山雅治でよかった・・・。
いえ、佐野史郎が悪いわけじゃない。
それはそれで面白いと思いつつ、
このテレビドラマは主演がこの二人だからこそのヒットであると、それは誰しも認めるのではないでしょうか。
さて、テレビのほうは、ここで忘れるとしまして、
ここではさまざまな不可思議な事件が登場。
突然燃え上がった若者の頭。
心臓だけ腐った男の死体。
池に浮かんだデスマスク。
幽体離脱した少年・・・。
帝都大学理工学部物理学科助教授、湯川学は、最先端の科学知識と、柔軟な思考、鋭いインスピレーションで謎を解いていきます。
私は未だに、物理と聞いただけでジンマシンが出る。
だから、理数系が得意という人は、それだけで尊敬してしまうのです。
実は驚嘆すべきは、湯川学でなく、これらの謎を次から次へと作り出している、作者東野圭吾であるというべきでしょう。
さすが大御所、人物描写もうまくて、物理学者なんて言葉からイメージすると、四角張った堅苦しいイメージを抱きがちだけれども、
結構茶目っ気があり、草薙刑事をからかったり、いつも薄汚れたマグカップにインスタントコーヒーだったり、ちょっとした生活観が漂うあたりも、なんだか親しみ深いわけです。
さて、では2冊目にとりかかりましょうか・・・。
満足度★★★★