シンデレラ・ティース (光文社文庫)坂木 司光文社このアイテムの詳細を見る |
この著者は、「青空の卵」から始まる引きこもり探偵のシリーズで、
ファンになりまして、
この本も、迷わず買いました。
大学の夏休み中、歯科医の受付のバイトをする咲子が主人公。
一応ミステリですが、
歯医者さんで殺人事件が起こったりはしないのでご安心を。
「日常の謎」を解いてゆくストーリーです。
例えば、
ある女性患者の関係者と思われる男が突然乗り込んでくる。
『何でこんなに治療に長くかかるんだ!
しかも、とんでもなく強い薬まで出して!』
・・・しかし、それは全く事実無根。
これは一体どういうこと・・・?
また、例えば、
ある男性は電話の受け答えはとても感じがいいのに、
実際に通院してくる時はいつもつっけんどん。
こんなに印象が違うのはなぜ・・・?
患者が心に持つ大事な秘密を解き明かしていきます。
咲子は実は、子供の頃かかった歯医者の印象が最悪で、
大の歯医者嫌い。
歯医者嫌いというよりは、すでに恐怖症。
そのとき以来、一度も歯医者にかかったことがない。
ここのバイトも母親に騙されて受けることになってしまった。
そんな咲子だったのですが・・・。
ほんとに、歯医者って、できれば行きたくないところの一つですよね。
あの歯を削る時の音を聞いただけで逃げ出したくなってしまう。
でも、ここの歯科医が、すごくいいんですよ。
患者の気持ちを大事にする。
そして、スタッフもまた、個性豊かで、それぞれ素敵な人ばかり。
あまりにも皆いい人過ぎるよ~、と不満に思ってしまうくらい。
本当にこんな歯医者さんがあれば患者としていってみたいし、
働いてもみたい。
いやいや始めたバイトではありながら、
患者やスタッフの役に立つとうれしく、
どんどんやりがいを感じて、
受付でも、歯科の知識がなくては・・・と、勉強まで始める。
こういう、成長の物語でもあるのです。
そしてまた、私としてはここがポイント高いのですが、
歯科技工士、四谷へのほのかな思い・・・、
その恋の行方。
これがいいんです!!
四谷は気取らなくてちょっとぶっきらぼう。
でも、すごく細やかな観察眼。
器用なその手、細くて美しい指。
男性のきれいな指って、なんだかちょっとドギマギしちゃいます。
私も、こういう人は好きだなあ・・・、
なんて、それはどうでもいいのですが。
というわけで、いろいろな方向から楽しめてしまう。
おススメです!
満足度★★★★☆