映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

ロード・オブ・ドッグタウン

2009年05月11日 | 映画(ら行)
スケートボードにかける青春群像

           * * * * * * * *

70年代。アメリカ西海岸。
わずか3年でスケートボードの世界を一新させ、
全米の若者たちが熱狂するカルチャーに変えた
伝説のスケボー集団“Z-BOYS”の実話を基にしています。
この作品はそのメンバーの1人、ステイシー・ベラルタの脚本によるものです。

サーフショップ「ゼファー」にたむろする少年たち。
ほとんど不良というかチンピラというか、
まあ、普通の大人から見ると「しょうもない・・・」
と、つい思ってしまう、少年たちですね。
しかし、この店のオーナーがチームを結成し、
スケートボードの競技会に出場すると一躍注目を浴び始める。
その技、スピード感。
これまでにはないものだったんですね。

絶好調の彼らは、水不足で水の張られていない人家のプールに忍び込み、
そこで練習したりします。
立派な家宅侵入罪なので、時には警察に追われながら、(それも楽しんだりして)
浮かれて過ごす毎日。

しかし、この無邪気な彼らを大人たちが食い物にし始める。
結局は欲得がらみの話になってしまうんです。
そうして、彼らはバラバラになり、それぞれの道を歩き始める。

題材はスケートボードですが、
行き場のない閉塞感で突っ張っていた少年たちが、
生きがいを見出し、そして夢を見失い、
しかし、また、自分の足で歩み始める。
これはごく普遍的な青春の物語なのです。
そんなところがとてもリアルに描かれていたと思います。

この少年たちがいいんですよ。
金髪かつ長髪、美しい肉体の少年たち・・・。
なんだか、吉田秋生のコミックに出てくるような雰囲気。

それから、注目すべきはこのサーフショップのオーナーがヒース・レジャー。
この人は、まるでここに出てくる少年たちが
そのまま大人になってしまったという感じ。
はっきり言って、「分別ある大人」なんかじゃ決してないのです。
これまで、好きなことばっかり自分流でやってきた。
ガラが悪くて、独りよがり。
まじめに仕事をしているステイシーをバカにしたりする。
・・・そんな風なので、次第に周りの人から愛想をつかされるのですが、
やさぐれ男の悲哀が、実に良く出ているんですよね~。
さすが、ヒース・レジャー。
要所要所で決めてくれます。
この映画に彼が出ていなければ、もっとつまらないものになっていたかも。

2005年/アメリカ/107分
監督:キャサリン・ハードウィック
出演:エミール・ハーシュ、ヴィクター・ラサック、ジョン・ロビンソン、ヒース・レジャー



ロード・オブ・ドッグタウン [DVD]

ソニー・ピクチャーズエンタテインメント

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