![]() | 海に行かないか坂田 靖子朝日新聞出版このアイテムの詳細を見る |
久し振りに、坂田靖子さんのコミック新刊が出ていたので、購入しました。
しかも2冊。
こちらの「海にいかないか」は、まず、ショートストーリー集。
本の背表紙の解説を借りますと・・・
「楽しくて、笑えて、ちょっと考えてしまう坂田ワールドがここに終結!!
ほのぼの気分幸せいっぱいのショートストーリー集です」
うむ、まさに、その通りですな。
メルヘン、というほどには夢々していない。
どこか現代の日常の感情を臭わせながら、とぼけた口調で語られていく。
登場人物たちも、いかにも人がよさそうなんですよね。
単純化されたこの絵柄からも、そういうムードが漂っています。
始めの方に、ドラゴン退治をする騎士のお話があります。
この本では珍しく2話連作。
旅の騎士がドラゴンの住むという洞窟に入ってみると、
ドラゴンは桶にはまり込んで抜け出せなくなってしまっていた。
こんなものを退治したからといって
「風呂屋の騎士」とかヘンな名前で呼ばれるだけだ――――名誉にも何にもなりゃしない
帰ろうとする騎士。
また、あるときには
竜が飼いたいというわがままなお姫様のリクエストで、竜を捕まえに行く騎士。
犬かネコか山羊かブタにすればいいのに・・・。
しょうがない、行ってくるか。
ぼやく騎士。
普通にサラリーマンみたいな騎士ですね。
こんな感じで、悲壮感とか決死とかには縁のナイ登場人物たち。
このユル系が今時、癒しですよね。
でも、この著者は、何も今の時代だからこうなのではなくて、
少なくとも、デビューしたての私の知っている時分から、
ずっとこのスタイルなんです。
だから、好きなんです。
坂田さんはよほどこの騎士がお気に入りらしくて、
あとの方でもまた登場します。
そこでは鎧が磁気を帯びて磁石になっちゃう。
お城で鍋釜やスキやクワがくっついてしまうので、
気をつけてくださいよ、なんて下働きの人に怒られたりしてる。
まあ、肩こりにはいいかも・・・。
でも、時々あるシリアス作品もいいんですよ~。
私のおススメコミック作家です。
私の好きな作品は
「バジル氏の優雅な生活」
「マーガレットとご主人の底抜け珍道中」
シリーズもので、すべて読もうとすると結構な分量になりますが・・・。
満足度★★★★☆