マイ・フェア・レディ 特別版 [DVD]ワーナー・ホーム・ビデオこのアイテムの詳細を見る |
「花売り娘」と「レディ」の違いは、どう扱うかではなく、どう扱われるか。
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これは、かなり有名なミュージカル作品ですね。
私もこれは何度も見ていて、おなじみの曲もたくさんあります。
もともとは、「ピグマリオン」というジョージ・バーナード・ショウの戯曲作品。
それが、舞台ミュージカル「マイ・フェア・レディ」として、大当たり。
この時のイライザ役は、ジュリー・アンドリュースだそうです。
そして更に映画化され、できたのがこの作品。
主役はオードリー・ヘップバーンが抜擢されました。
しかし、この映画では、歌の部分はオードリーでなく、
マーニ・ニクソンという方の吹き替え。
とはいえ、この映画の成功は、やはりオードリー出演の賜物、
といっていいでしょうね。
もちろん、曲もいいのですが。
ストーリーはいまさら説明することもなさそうです。
ロンドン下町の下品な花売り娘、イライザが、
言語学者ヒギンズ教授にレディとしての言葉、振る舞いをしつけられ、
次第に真にレディに変貌してゆく。
その間、二人は知らず心を寄せていくのですが、
しかし同時に、いつまでも花売り娘としか自分を見ないヒギンズに
イライザは反発してゆく・・・。
訛り丸出しの下品な娘、英語でもそれははっきり伝わりますね。
発音を矯正するための練習の言葉に、
“The rain in Spain stays mainly in the plain.”
なんていうのがあります。
イライザはこれを
「ザ、ライン、イン、スパイン、スタイズ、マインリイ、イン、ザ、プライン」 なんていう風に発音するんですね。
これぞ、下賎育ちの発音。
eiと発音すべきところがaiになってしまっている。
それから、“H”の音の発音ができない。
これなど、江戸っ子が「ヒ」と「シ」の区別ができないのと似ていますね。
なるほど、訛りとはこういうことなのか、と、興味深く思いました。
途中経過の競馬場のシーンも印象深いですね。
白いドレスに大きな白黒ストライプのリボン、
この姿の写真は今でもずいぶん使われています。
ここは発音だけは何とか矯正できたのですが、
言葉遣いや立ち居振る舞いがもとのまま、
というギャップが楽しめるところです。
それにしても、この芋娘から、最後のレディへの変身ぶり、
あの、優雅な身のこなし。
ほう・・・とため息が出てしまうくらい素敵でした。
でも、今回ずいぶん久し振りに見て、このラストはなんだか納得できない。
結局私は自立する女性が好きみたいです。
だから、結婚してめでたし、めでたし・・・というのはダメですね。
もちろん、今時は結婚しても職業を続けるのは普通ですから、
そこは問題ないのですが。
結婚がゴールになってしまうのはダメです。
映画も、世に連れるのでしょうね。
今なら、このラストはないと思う・・・。
1964年/アメリカ/172分
監督:ジョージ・キューカー
出演:オードリー・ヘップバーン、レックス・ハリソン、スタンリー・ホロウェイ、ウィルフリッド・ハイド・ホワイト