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映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

マンデラの名もなき看守

2009年05月30日 | 映画(ま行)
マンデラの強く正しい意志に惹かれて・・・

           * * * * * * * *

ネルソン・マンデラ。
南アフリカで、アパルト・ヘイト政策に抵抗し、
27年もの投獄生活の後、南アフリカ初の黒人大統領となった人物です。

この作品は、このネルソン・マンデラの獄中生活の多くの時期を
看守として務めたグレゴリーの物語。
実話を元にしています。
彼は少年時代、仲の良い黒人の子がいました。
肌の色など関係なく、友情や信頼が築けることを身を持って知っていた。
そういうところが、彼の根底にあるのです。

世間の白人たちは、武力闘争に走る黒人たちを「テロリスト」と呼びます。
そして憎しみ、蔑もうとする。
同じ人間とは決して認めようとしない。
グレゴリーも、始めのうちはそんな風だったのですが、
マンデラの崇高な思想に触れるうちに次第に、感化されていくのです。
マンデラに対して次第に敬意を抱いてゆく。

そんな態度が次第に周りの人たちに伝わり、
彼とその家族は「黒人びいき」として、仲間はずれにされたりします。
アパルト・ヘイト。
悪名高いこの政策を,私は外から見ていたときに、
一体そこの国の白人たちってどんな人たちなのかと思っていました。
あんなに世界中からの非難を浴びながらも、
どうして彼らはそれをやめないのだろう、と。
この映画を見て、少し見えてきたのは、
彼が抱いていたのは「恐怖心」なのだろうということです。
何しろ、白人はずっと、黒人を食い物にしてきた。
いまさら、彼らに自由や権利をあたえたら、
今度は自分たちの身が危ない。
自由を与えられたその日に、彼らは襲い掛かってくる。
・・・そんな白人の恐怖心が、
黒人をさまざまな規制でがんじがらめにしていたのかもしれません。

それにしても、マンデラの27年間もの獄中生活。
世界中からの批判をおそれ、そうひどい待遇ではなかったようですが、
自由を奪われることは、何にも増してつらく、屈辱的です。
そんな中でも、周りの人々に影響を与えるこの方は、
本当に、根底に何かの強いオーラをもっていたのでしょうね。
グレゴリーを支える家族のありようもまた、心に残ります。

時にはじっくりと、こういう作品に触れるのも良いものです。

2007年/フランス・ドイツ・ベルギー・イタリア・南アフリカ/117分

監督:ビレ・アウグスト
出演:ジョセフ・ファインズ、デニス・ヘイスバード、ダイアン・クルーガー

マンデラの名もなき看守