映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア

2009年05月12日 | 映画(な行)
ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア (デジタルニューマスター版スペシャル・エディション) [DVD]

角川エンタテインメント

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死ぬ前に、まだ見たことのない海を見に行こう

          * * * * * * * *

余命わずかと宣告され、末期病棟の同室となったマーチンとルディ。
死ぬ前に海を見に行こうと、病室を抜け出します。
パジャマのまま裸足で。
駐車場に止めてあったベンツを失敬。
ところが、この車がギャングのもので、大金が積んであったのです。
二人の、ギャングと警察に追われながらのロード・ムービー。

難病モノ、とはいえ、この作品はユーモアがちりばめられていて、
湿っぽさはありません。

ギャング二人は黒いスーツにサングラス。
見た目はいかにも凄腕のギャングなのに、
言うことなすことトンチンカンでドジ。
なんともおかしい。

また、マーチンとルディが銀行強盗に入った先の銀行員たちも、至って冷静。
銃を突きつけられながら、
「その監視カメラは録画機能がないのよ」・・・なんて解説してくれるし、
二人が奪ったお金から分け前をもらったりしてる・・・。
世の中、いつもこんな風ならのどかでいいのですが。

さて、ついには
片やギャングの大集団。
片や警察の大集団。
はさまれてしまった二人の運命は・・・!?。
いやいや、二人はこんなことではへこたれないのです。
求めれば道は開かれる・・・。

マーチンとルディはお互いをいたわりつつ、最良のコンビとなっていきます。
どうせ、残り少ない命。
となれば、実際、もう怖いものなどないのです。
彼らは海への旅のために銀行強盗をしたり、車を盗んだりするのですが、
基本的には常識人。
それだけに、私たちはとても彼らを身近に感じてしまうんですね。

明日の命も保障されていない、というときに、
私たちは何を優先させるのでしょう。
そんなときに、ちょっとばかりの道徳は歯止めにならないし、
周りの人も、そうと聞いては
多少のことは多めに見てくれそう・・・。
しかし私だったら、小心者ですから、
多分それもできないと思ったりして・・・。

さて、この作品は、普通のロード・ムービーと比べると、
「追われる」という立場があるので、スリリング。
そして、命のタイムリミットはいつくるのかも分からない。
こういう設定だけ聞くと重苦しくなってくるところを、
よくこんな風にカラッと仕上げたものです。
この手腕はすごいですね。
最後の最後にはとうとうギャングに捕まってしまうのですよ。
彼らの運命やいかに。
そして、海を見ることはできるのでしょうか・・・!?

ドイツで大人気を得た作品ですが、たしかに、一度観て損はない作品です!

1997/ドイツ/90分
監督:トーマス・ヤーン
出演:ティル・シュヴァイガー、ヤン・ヨーゼフ・リーファース、ルトガー・ハウアー