![]() | ニッポン硬貨の謎 エラリー・クイーン最後の事件 (創元推理文庫 (Mき3-6))北村 薫東京創元社このアイテムの詳細を見る |
この本を楽しむために必要なものが3つあります。
1 まず、北村薫ファンであること。
2 さらにエラリー・クイーンファンであること。
3 そして、「50円玉20枚の謎」に興味があること。
私は1と3はOKなのですが、肝心の2が全くダメ。
そもそもこの本は、
「北村薫」が「エラリー・クイーン」の未発表作品を翻訳した、
という想定の基に描かれているのです。
それなので、この文体は、
そう、まさに海外ミステリの翻訳調なんですよ。
私には、苦手感たっぷりの・・・。
エラリー・クイーンは実際に一度来日していますが、
そのときに起きた事件を基にしたストーリー。
そういうことになっています。
ご存知のように、エラリー・クイーンには「国名シリーズ」があります。
「ニッポン樫鳥の謎」という本もありますが、
実はこの原題は「The Door Between」。
この邦題は日本で勝手につけたもの。
だから、本当はこれは国名シリーズとして描かれたものではないのだそうな。
そこで、埋もれていた本当の国名シリーズの「ニッポン」版があった、
ということなんですね。
まあ、そもそも、そういうことからして、私はよくわかっておらず、
ミステリファンとしてはあるまじきエラリーオンチなので、
この本はややつらいです。
エラリーファンを自任する方でなければ
真の意味で楽しむことは、できそうにありません。
さて、もう一つ。
「50円玉20枚の謎」とは。
これはもともと実際に、ミステリ作家若竹七海さんが、
書店でアルバイトをしているときに体験した出来事なのだそうです。
あるとき1人の男性がいそいそと店に飛び込んできて、
まっすぐレジに来て、50円玉を20枚出し、
千円札に両替してくれ、と。
お店で単に両替は断られることもありますが、
この書店ではそれに応じる方針を出していたため、
千円札と交換し、その場は終わったそうなんですね。
これがそのとき一度だけなら記憶に残るほどのことでもない。
しかし、その人は毎週現れ、
きっかり50円玉20枚を差し出して両替して帰っていく。
一体、この20枚もの50円玉はどのようにして生じたものなのか、
なぜ、いつもわざわざ書店に現れて両替するのか。
このあたりが謎なわけです。
ミステリ作家仲間のうちでこの話が話題となり、
それぞれがこの謎を推理。
そうしてできた「50円玉20枚の謎」という本も出ていまして、
私はこれを読んでいます。
無論、この本はその謎だけでなく、
きちんと(?)殺人事件もあるのですが、
北村薫氏の50円玉の謎の解釈も、楽しみでした。
でも、・・・、
私としてはあまりにも抽象的こじ付けなんで、あまり納得できません。
とにもかくにも、
この本を楽しむにはかなりのエラリー・クイーン知識が必要。
ということで私は惨敗。
満足度★★★☆☆