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映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

「桜ハウス」 藤堂志津子

2009年05月29日 | 本(その他)
桜ハウス (集英社文庫)
藤堂 志津子
集英社

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年齢も趣味も育ちも違う女4人が一つ屋根の下に暮らす。
他人ゆえの居心地のよさ、わだかまりのなさ。
一緒に住むなら、夫よりも女友達!?

この文庫の帯のキャッチコピーに、思わずうなづき、
すぐに買ってしまいました。
私、本気で、こういうのいいなあ・・・と、以前から思っていたのです。
ただし、それはもう少し年をとってから。
始めから独身良し。
夫と別れた人良し。
夫に先立たれた人良し。
もう仕事もリタイアして、日々、のんびり過ごせるようになった時、
こんな風に、気の置けない仲間の共同生活は、いいのではないかと・・・。
ただし、個室が必ずあることは最低必要条件です。


このストーリーは、私の理想とは少し違って、
みなさん、仕事も現役。
年齢も、結構まちまちです。
もともとは蝶子が叔母から譲り受けた家なのですが、
2階の部屋をシェアして、多少の家賃収入を得ようと・・・。
そこで、同居人を募集して始めに住んだ3人が、
遠望子31歳。綾音26歳。真咲21歳。蝶子は36歳。
・・・と程よくいろいろな世代が。

この話は、その10年後からスタートします。
しばらく一緒に住んでいたけれども、
今はそこを出ている遠望子・真咲が久し振りにやってきて旧交を暖める。
この4人は性格が本当にそれぞれ違うのです。

蝶子46歳は公務員。
しっかりものタイプ。
もう恋愛にはあまり興味が持てず、ひたすら、食べることに興味がある!

遠望子41歳は、4人の中では一番地味で、
まじめというよりは融通が利かないタイプ。
しかし、最も浮ついた話がなさそうな彼女が、
なんと、未婚で子どもを産んでいた!!

問題児、綾音36歳。
彼女はとにかく美人。
黙っていても周りの男性が放っておかない。
そして、彼女はすぐメロメロになり恋愛にのめりこんでいき、
あっという間に婚約。
しかし、そのさなかに、また別の男性に心引かれ・・・。
どろどろの三角関係にもつれ込んでいく。
そのパターンの繰り返し・・・。
こんな女性は同姓から見ると敵のようにも思えるのですが、
彼女の性格がまた、あっけらかんとこれらの悩みを口にするなど
憎めないところが多々。
全く別のタイプの蝶子とはなぜか気があって、
ずっと同居が続いています。

真咲31歳。
初めて桜ハウスにきたときはまだ学生でした。
前向きですっきりさわやかタイプ。
その後一度結婚したものうまくいかず、バツイチに。
そんな彼女が、母親の介護をすることになり・・・。

様々な年齢の女性を配置したことにより、
女性の持ついろいろな局面が描かれていて、
なかなか身につまされるストーリーとなっています。

家族でない間柄の同居というのは、
時には本音を語り、時にはいたわりあう、
そこそこお互いに遠慮もあり、
つかず離れずの距離感が良いのではないかと思います。
特に、女性なら、家事をすることをいとわず、
それぞれの生活が自立していて依存にもならないというところが
また、いいと思うのです。
ハウスシェアはこれからの社会、お勧めです! 
あとは、ネコでもいれば言うことなし!

この話にはすでに続編が出ているそうで、
ぜひ続きも読みたいと思います。
ところで、これって、
あと20年もしたら立派に『桜館の4人の魔女』
なーんて、呼ばれるのではないでしょうか・・・?

満足度★★★★☆