映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

「雨恋」 松尾 由美

2009年05月10日 | 本(ミステリ)
雨恋 (新潮文庫)
松尾 由美
新潮社

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沼野は、しばらくの間、
渡米した叔母のマンションに留守番代わりに住むことになったのですが、
なんと、そこには先客がいて・・・。
それは、以前この部屋で亡くなった、小田切千波の幽霊!
彼女はなぜか雨の日だけ現れる。
現れるといっても、姿は見えない。
しかし、声は聞こえる。
その彼女が語ったことによると、
彼女は自殺しようとしたのだけれど、
急にバカバカしくなり気が変わったとたん、頭を打って気絶。
その間に誰かに殺されたらしいのだ・・・と。

幽霊が登場するミステリは結構あります。
その幽霊の能力(?)を生かし、
通常では知りえないことを知ることができて、事件解決、
そんなパターンは多いですね。
しかし、ここに登場する千波さんは、
部屋から出ることはできないし、人の心を読んだりもしない。
いつまでもこの部屋に囚われ、あの世へ行くこともできない千波の代わりに、
沼野が事件を調べ犯人を突き止めようとします。

事件について、何か一つ納得がいくごとに、
千波の姿が沼野にも見えるようになっていきます。
始めはひざから下。
次にはウエストから下。
そして首から下。
最後に顔が現れたとき・・・、
それは事件解決のときでもあるのですが、それはまた・・・。

沼野はいつの間にか雨の日を待ち遠しく思うようになっていたんですね。
つまりそれは雨恋であり、雨乞でもある。
ちょっぴりロマンチックな幽霊譚。
意外な犯人とは・・・?


どうなんでしょう。
女性が描いた女性像であるがゆえか、
私にはさほど千波さんは魅力的には思えなかったのですが・・・。

満足度★★★☆☆