江戸時代が舞台のラブファンタジー

* * * * * * * *
これは原作の方を先に読みました。
非常にドラマチックで、大好きだったのですが・・・
残念ながら、今作は、映画化に当たり相当作り替えられています。
原作では、瀬田村の庄屋の人々の暮らしや、兄、助次郎と斉道のいきさつなどが
きめ細かく柔らかに描かれています。
そしてストーリーの3分の2ほどもいった当たりで、ようやく遊と斉道の出会いがあります。
その前段が江戸時代の農村の様子をイメージ豊に描き出していて、とても良いのですが、
映画ではばっさり切り捨てられてしまいました。
しかし、銀杏と桜の木が融合した「雷桜」の木のように、
身分違いの恋を貫こうとした二人のラブストーリーをメインとした映画、
とすればこれは致し方のないこと・・・。
ほとんど原作は忘れて見た方がよさそうです。

そもそもこの作品、江戸時代を舞台としながらも、
そのことにあまり執着していないようです。
言葉使いなどは至って平易。
だから終盤、斉道が遊に「愛している」なんて言ったりする。
時代劇でこの言葉はかなり違和感なんですが・・・。
というか、今の日常会話としてもこのことば、クサすぎてうそくさい・・・。
若い方ならこだわらないのかな。
そもそも設定がまさしく肉食女子VS草食男子なんで、まさに現代的。
身分やしきたり、そういうものにがんじがらめの斉道と、
山育ちで何者にも縛られない自由な遊。
この遊こそは現代女性の姿でもあります。
一方斉道は、身分やしきたり・・・はないにせよ、親の期待が重い、今時の男子。
特に母親からの呪縛から逃れられない男子、という意味では
やはり斉道は現代の男性の姿とも重ね合わすことが出来る。
すなわちこれは、江戸時代を借りた現代のラブファンタジーなんですね。
二人が結ばれる祭りの夜の情景が、結構ステキでした。
仮面舞踏会?を思わせるお祭りの夜。
太鼓の狂乱するリズム。
踊り狂う人々。
お面をかぶっている遊を一目でそれと見分けて、見つめ合う斉道と遊。
そこまではとても良かったのに、
突然現代のバラード風バックグラウンドミュージックに代わったのには
苦笑させられました・・・。

蒼井優さんの演技はすばらしかったですね。
天狗・・・というよりは原作で言う「狼女」。
体当たりの演技とはこのことか。
きれいに見せなければならない「女優」を捨て、
リアルに野放図で自由な女になりきっている。
そして、白馬に乗って野を駆け回る姿は確かに美しいのです。
正直彼女の前では時任三郎も霞む・・・。
(でも私は時任三郎ファン)
岡田将生くんは・・・、きれいすぎてあんまりチョンマゲ似合わないですね。
「大奥」の二宮君も、そう感じましたが・・・。
最近で一番良かったのは、「ちょんまげプリン」の錦戸くん。

あ、話がそれました。
幻想的な雷桜の巨木がイメージするように、
どこか茫洋とした現実ではないラブストーリー。
そう理解すれば、まあ何とか及第点。
けれど、岡田将生ファンでも蒼井優ファンでもなく、
本を読もうか映画を見ようかと迷っている方には、絶対に本の方をオススメします。
→→宇江佐真理「雷桜」
2010年/日本/133分
監督:廣木隆一
原作:宇江佐真理
出演:岡田将生、蒼井優、小出恵介、柄本明、時任三郎

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これは原作の方を先に読みました。
非常にドラマチックで、大好きだったのですが・・・
残念ながら、今作は、映画化に当たり相当作り替えられています。
原作では、瀬田村の庄屋の人々の暮らしや、兄、助次郎と斉道のいきさつなどが
きめ細かく柔らかに描かれています。
そしてストーリーの3分の2ほどもいった当たりで、ようやく遊と斉道の出会いがあります。
その前段が江戸時代の農村の様子をイメージ豊に描き出していて、とても良いのですが、
映画ではばっさり切り捨てられてしまいました。
しかし、銀杏と桜の木が融合した「雷桜」の木のように、
身分違いの恋を貫こうとした二人のラブストーリーをメインとした映画、
とすればこれは致し方のないこと・・・。
ほとんど原作は忘れて見た方がよさそうです。

そもそもこの作品、江戸時代を舞台としながらも、
そのことにあまり執着していないようです。
言葉使いなどは至って平易。
だから終盤、斉道が遊に「愛している」なんて言ったりする。
時代劇でこの言葉はかなり違和感なんですが・・・。
というか、今の日常会話としてもこのことば、クサすぎてうそくさい・・・。
若い方ならこだわらないのかな。
そもそも設定がまさしく肉食女子VS草食男子なんで、まさに現代的。
身分やしきたり、そういうものにがんじがらめの斉道と、
山育ちで何者にも縛られない自由な遊。
この遊こそは現代女性の姿でもあります。
一方斉道は、身分やしきたり・・・はないにせよ、親の期待が重い、今時の男子。
特に母親からの呪縛から逃れられない男子、という意味では
やはり斉道は現代の男性の姿とも重ね合わすことが出来る。
すなわちこれは、江戸時代を借りた現代のラブファンタジーなんですね。
二人が結ばれる祭りの夜の情景が、結構ステキでした。
仮面舞踏会?を思わせるお祭りの夜。
太鼓の狂乱するリズム。
踊り狂う人々。
お面をかぶっている遊を一目でそれと見分けて、見つめ合う斉道と遊。
そこまではとても良かったのに、
突然現代のバラード風バックグラウンドミュージックに代わったのには
苦笑させられました・・・。

蒼井優さんの演技はすばらしかったですね。
天狗・・・というよりは原作で言う「狼女」。
体当たりの演技とはこのことか。
きれいに見せなければならない「女優」を捨て、
リアルに野放図で自由な女になりきっている。
そして、白馬に乗って野を駆け回る姿は確かに美しいのです。
正直彼女の前では時任三郎も霞む・・・。
(でも私は時任三郎ファン)
岡田将生くんは・・・、きれいすぎてあんまりチョンマゲ似合わないですね。
「大奥」の二宮君も、そう感じましたが・・・。
最近で一番良かったのは、「ちょんまげプリン」の錦戸くん。

あ、話がそれました。
幻想的な雷桜の巨木がイメージするように、
どこか茫洋とした現実ではないラブストーリー。
そう理解すれば、まあ何とか及第点。
けれど、岡田将生ファンでも蒼井優ファンでもなく、
本を読もうか映画を見ようかと迷っている方には、絶対に本の方をオススメします。
→→宇江佐真理「雷桜」
2010年/日本/133分
監督:廣木隆一
原作:宇江佐真理
出演:岡田将生、蒼井優、小出恵介、柄本明、時任三郎