映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

ヒックとドラゴン

2011年02月03日 | 映画(は行)
どうして始めにドラゴンを殺さなかったの?



          * * * * * * * *

さあ、本日は大変オススメのアニメです。
これは私も是非劇場で見たかったのですが、見損ねていました。

少年ヒックが住んでいるのはバイキングの島。
ここでの最大の問題は、飛来してきては家畜を奪っていくドラゴンたち。
男たちの価値はこの「ドラゴンを殺すこと=力」で測られる。
ヒックの父は中でもリーダー的存在。
男たちは皆大きくてマッチョですね。

しかし、ヒックと来たらやせっぽちで、ぜんぜん力がない。
父に何とか認められたくてがんばってはみるのですが、
気持ちばかりが先走り、逆に迷惑を掛けるばかり。
そんなある日、ヒックは一匹の傷ついたドラゴンと出会います。
チャンスだ!殺そうと思うけれども、それが出来ない。
お腹が空いているようなので、えさを与え、傷ついた尾翼に人工尾翼をつけてみる。
よくあるファンタジーのように、ドラゴンが人の言葉を話したりはしないのですが、
しぐさや表情で充分に意志の疎通ははかれます。
二人は次第に心を通わせ、一体となって空を翔ることができるようになった。

ドラゴンに乗って空を飛ぶ。
何だか「アバター」のシーンを思い出しますね。
本当はこのアニメも3Dで作られたもの。
ううん。やっぱり劇場で見たかったですね。
3Dでなくても、風景やモノの質感、空を飛ぶ疾走感、
実にリアルで迫力がありましたけれど。

ヒックはこのドラゴン、トゥースと触れ合ううちに
ドラゴンの嗜好や習性を理解していきます。
一方、村では少年たちがドラゴンを倒す訓練を受けている。

そんな中で、最も非力なヒックが、
凶悪そうなドラゴンたちを次々とてなづけて行き、優秀な成績をおさめる。
でも、ドラゴンたちは実は倒すべき敵ではなくて、友達なのだ・・・とヒックが言っても、
大人たちは聞く耳をもちません。
そして・・・


まず、このトゥースがかわいいんですよ~。

始めは警戒心いっぱいだったのが、だんだんなついてくる。
この感じ。
犬を飼ったことのある人なら解ると思うんです。
実際、ほとんどお互いの気持ちが通じるようになってきますよね。
怖い顔のハスキー犬も充分かわいいと思えるので、
トゥースの場合でもそれはアリです。

少女がヒックに「どうして始めにこのドラゴンを殺さなかったの?」と聞きます。
ヒックの答えは「怖がっているように見えたから・・・。」
そうなんです、相手の気持ちを推し量ること。
殺し合うことではなくて、相手を理解すること。
まずはこれが和解への第一歩だ。
それができれば、多くの争いごともなくなるのにな・・・。

ヒックは肉体的な力をつけるわけではないんですね。
でも彼の本質=他者の理解、優しさ、知恵、勇気
そういうものを生かして成長していくんです。
無理に世間的な価値に合わせることはない。
自分らしさを活かそう。
そういうメッセージもこめられていますね。
オトナでも充分満足出来るオススメ作品です。

ヒックとドラゴン ブルーレイ&DVDセット [Blu-ray]
(声の出演),ジェイ・バルチェル,ジェラルド・バトラー,アメリカ・フェレーラ,レイグ・ファーガソン
パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン


「ヒックとドラゴン」
2010年/アメリカ/98分
監督・脚本:ディーン・デュボア、クリス・サンダーズ
原作:クレシッダ・コーウェル
出演(声):ジェイ・バルチェル、ジェラルド・バトラー、クレイグ・ファーガソン、アメリカ・フェレーラ