明かされる京介の“罪”
* * * * * * * *
やっと出ました。
ここまで引っ張るに引っ張ってきた桜井京介シリーズの完結編。
ここでようやく、京介自身が体験した忌まわしい過去の事件が明らかになります。
それは20年前、京介がいた学園の出来事。
なんと、その学園の生徒と教師二十数名が死亡という惨劇。
それが桜井京介、いえ本名工遠アレクセイの仕業であるとでもいうのか・・・。
目を開くことが出来ず監禁されている京介。
函館で、京介の行方や事件の手がかりを探す蒼。
関係者を訪ねる深春。
意外な成り行きで、行方不明となる神代教授。
それぞれの回想や調査により、事件の詳細が明らかになっていきます。
登場人物、誰のファンであっても納得のいくおいしい設定となっていますね。
圧巻なのは終盤、京介が盲目のまま裸足で荒れ地の山を登るシーン。
これはもう、殉教者・・・という感じです。
リアルさという点では、
これはもう"久遠アレクセイ"の話に入った前巻から、度外視。
でも、ロシア貴族が北海道に渡って・・・という伝説的設定の部分には魅力を感じます。
我が北海道が舞台というのがうれしい。
そのようなロマン的な伝説など皆無と思っていましたので・・・。
ちなみに、いかにも荒涼殺伐とした恵山(えさん)の頂上風景、
写真まで入っていますが、
その山裾は季節にはツツジが咲き乱れる風光明媚なところでもあります。
蒼が歩き回った函館の風景も、私には懐かしく親しみのある光景。
すぐ影響されてしまう私は、
今度函館に行ったら、すっかり"蒼"気分になってしまいそう。
そしてまた、一応の事件の解決の後の設定がまたすごい。
猫が日向でお昼寝をしているような・・・
そのようなのどかな日が戻るには戻るのですが・・・、
かなり問題ありです。
でも、それもつかの間、急展開。
納得のいくラストだと思います。
それと、以前から怪しい気配ではあった深春と綾乃さんが・・・
私は、この本を読み終えて閉じた後も興奮状態で、
しばらく寝付けませんでした。
やってくれましたねえ・・・篠田さん。
このシリーズ開始は94年。
長らくたっぷり楽しませていただきました!!
また、「はじめに」部分で著者が
名を覚えていただいた彼らがなおこの先も、
生き続けて新たな物語を紡いでいく可能性を否定するものではない
と記しているのは非常に心強い。
京介と蒼と深春が、わいわい言いながら食事しているような風景を、
是非また番外編として読みたいものです。
期待しています!!
またまたついでに、題名の「燔祭(はんさい)」とは・・・。
文字変換も標準では出てこなかったですよ・・・
全くもう・・・。
辞書では
「古ユダヤ教で供えられた動物を、祭壇で全部焼いて神に捧げたこと。」
つまり生け贄ということか・・・
京介が向かった山頂に、ある人物が十字架に縛り付けられていた、
そのシーンをさすものと思われます。
または過去の事件で命を失った多くの人たちとか。
「ホロコースト」の元の意味は、これなのですって・・・。
知りませんでした。
勉強もさせてもらいました・・・。
「燔祭の丘/建築探偵桜井京介の事件簿」篠田真由美 講談社ノベルス
満足度★★★★★★!!
![]() | 燔祭の丘 建築探偵桜井京介の事件簿 (講談社ノベルス) |
篠田 真由美 | |
講談社 |
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やっと出ました。
ここまで引っ張るに引っ張ってきた桜井京介シリーズの完結編。
ここでようやく、京介自身が体験した忌まわしい過去の事件が明らかになります。
それは20年前、京介がいた学園の出来事。
なんと、その学園の生徒と教師二十数名が死亡という惨劇。
それが桜井京介、いえ本名工遠アレクセイの仕業であるとでもいうのか・・・。
目を開くことが出来ず監禁されている京介。
函館で、京介の行方や事件の手がかりを探す蒼。
関係者を訪ねる深春。
意外な成り行きで、行方不明となる神代教授。
それぞれの回想や調査により、事件の詳細が明らかになっていきます。
登場人物、誰のファンであっても納得のいくおいしい設定となっていますね。
圧巻なのは終盤、京介が盲目のまま裸足で荒れ地の山を登るシーン。
これはもう、殉教者・・・という感じです。
リアルさという点では、
これはもう"久遠アレクセイ"の話に入った前巻から、度外視。
でも、ロシア貴族が北海道に渡って・・・という伝説的設定の部分には魅力を感じます。
我が北海道が舞台というのがうれしい。
そのようなロマン的な伝説など皆無と思っていましたので・・・。
ちなみに、いかにも荒涼殺伐とした恵山(えさん)の頂上風景、
写真まで入っていますが、
その山裾は季節にはツツジが咲き乱れる風光明媚なところでもあります。
蒼が歩き回った函館の風景も、私には懐かしく親しみのある光景。
すぐ影響されてしまう私は、
今度函館に行ったら、すっかり"蒼"気分になってしまいそう。
そしてまた、一応の事件の解決の後の設定がまたすごい。
猫が日向でお昼寝をしているような・・・
そのようなのどかな日が戻るには戻るのですが・・・、
かなり問題ありです。
でも、それもつかの間、急展開。
納得のいくラストだと思います。
それと、以前から怪しい気配ではあった深春と綾乃さんが・・・
私は、この本を読み終えて閉じた後も興奮状態で、
しばらく寝付けませんでした。
やってくれましたねえ・・・篠田さん。
このシリーズ開始は94年。
長らくたっぷり楽しませていただきました!!
また、「はじめに」部分で著者が
名を覚えていただいた彼らがなおこの先も、
生き続けて新たな物語を紡いでいく可能性を否定するものではない
と記しているのは非常に心強い。
京介と蒼と深春が、わいわい言いながら食事しているような風景を、
是非また番外編として読みたいものです。
期待しています!!
またまたついでに、題名の「燔祭(はんさい)」とは・・・。
文字変換も標準では出てこなかったですよ・・・
全くもう・・・。
辞書では
「古ユダヤ教で供えられた動物を、祭壇で全部焼いて神に捧げたこと。」
つまり生け贄ということか・・・
京介が向かった山頂に、ある人物が十字架に縛り付けられていた、
そのシーンをさすものと思われます。
または過去の事件で命を失った多くの人たちとか。
「ホロコースト」の元の意味は、これなのですって・・・。
知りませんでした。
勉強もさせてもらいました・・・。
「燔祭の丘/建築探偵桜井京介の事件簿」篠田真由美 講談社ノベルス
満足度★★★★★★!!