経済成長まっただ中の日本の熱気
* * * * * * * *
以前から亮さんにオススメいただいていた今作品。
まあ、私はジュリーこと沢田研二見たさで見てみました。
中学校の理科教師、城戸。
彼は孤独で空虚な心を抱えていた。
東海村の原発からプルトニウムを盗み出し、アパートの自室で原子爆弾を製造する。
彼はその原爆をタテに、国家へ向けて無謀な要求をしようとする。
手始めは、いつも夜9時で終了してしまうテレビのナイター中継を延長すること。
長嶋監督の采配の元、王がホームランを打ったりする。
おお!そういう時代ですか!
だがしかし、彼はそれ以上の要求を思いつかない。
空っぽの男が原爆を持ったところで、彼にはそれ以上やりたいことが何もない。
あれば原爆など作るよりも先に、そちらのアプローチをするでしょうね。
今なら、まずテロ活動へと話が進むのでしょうけれど、全くそうはならない。
ドラマは、菅原文太演じる刑事と池上季実子演じるラジオパーソナリティーが絡み、
次第に過激な方向へと展開していきます。
正直言ってストーリーは、なんじゃこれは・・・?というシロモノ。
でも、経済成長まっただ中の日本の熱気が感じられる、
その時代の見本のような作品なんですね。
1979年。約30年前ですか。
電話はダイヤル電話だし、テープレコーダーはオープンリール。
城戸は自作のボイスチェンジャーを使います。
まあ、今で言うオタクでしょうか、
一人部屋にこもって原爆作成・・・。
今なら差し詰め、パソコンをいろいろ駆使しそうな感じの青年ですね。
しかし、まだアナログの時代だ・・・。
第1この人、れっきとした教師ですよ。
今の先生なら忙しくて原爆なんか作ってるヒマないと思う・・・。
つまりこの時代、今振り返るならば、誰もが前進あるのみ!と突き進んでおり、
その流れに乗れないというのは、なんのために突き進むのか見えなくなってしまった人。
だから心が虚ろで、周りのすべてが無意味で、自分の存在も実感できない。
どうでもいい。
つきつめれば破滅願望なのではないでしょうか。
しかるに、30年後の現在。
そうですね、さしずめ今は、
その日本社会全体がなんのために突き進むのかよくわからなくなってしまっている。
空虚な世の中の風潮にも乗れなければ、もう引きこもるしかありません。
この頃ジュリーは「カサブランカ・ダンディ」とか「OH!ギャル」なんかを歌っていて、
人気絶好調。
元祖ビジュアル系といってもいいかな。
毎週のベストテン番組を見て、誰もが同じ曲をヒット曲として認識出来た時代ですね。
このジュリーが孤独でニヒリスティックな青年役、
というところがまた良かったのでしょう。
マサカの展開で幕を閉じるこの作品。
こういう破れかぶれも、アリとしてしまう・・・
それがやはりこの時代の熱気ならではなのかも。
当たり前ですが他の登場人物も皆若くて、思わず笑っちゃいますよ。
ほんのちょっと出てくる水谷豊は交番のおまわりさん。
どれだけ知った顔が出てくるか、そういう見方でも楽しめそうです・・・
「太陽を盗んだ男」
1979年/日本/147分
監督:長谷川和彦
出演:沢田研二、菅原文太、池上季実子、北村和夫、神山繁、西田敏行
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以前から亮さんにオススメいただいていた今作品。
まあ、私はジュリーこと沢田研二見たさで見てみました。
中学校の理科教師、城戸。
彼は孤独で空虚な心を抱えていた。
東海村の原発からプルトニウムを盗み出し、アパートの自室で原子爆弾を製造する。
彼はその原爆をタテに、国家へ向けて無謀な要求をしようとする。
手始めは、いつも夜9時で終了してしまうテレビのナイター中継を延長すること。
長嶋監督の采配の元、王がホームランを打ったりする。
おお!そういう時代ですか!
だがしかし、彼はそれ以上の要求を思いつかない。
空っぽの男が原爆を持ったところで、彼にはそれ以上やりたいことが何もない。
あれば原爆など作るよりも先に、そちらのアプローチをするでしょうね。
今なら、まずテロ活動へと話が進むのでしょうけれど、全くそうはならない。
ドラマは、菅原文太演じる刑事と池上季実子演じるラジオパーソナリティーが絡み、
次第に過激な方向へと展開していきます。
正直言ってストーリーは、なんじゃこれは・・・?というシロモノ。
でも、経済成長まっただ中の日本の熱気が感じられる、
その時代の見本のような作品なんですね。
1979年。約30年前ですか。
電話はダイヤル電話だし、テープレコーダーはオープンリール。
城戸は自作のボイスチェンジャーを使います。
まあ、今で言うオタクでしょうか、
一人部屋にこもって原爆作成・・・。
今なら差し詰め、パソコンをいろいろ駆使しそうな感じの青年ですね。
しかし、まだアナログの時代だ・・・。
第1この人、れっきとした教師ですよ。
今の先生なら忙しくて原爆なんか作ってるヒマないと思う・・・。
つまりこの時代、今振り返るならば、誰もが前進あるのみ!と突き進んでおり、
その流れに乗れないというのは、なんのために突き進むのか見えなくなってしまった人。
だから心が虚ろで、周りのすべてが無意味で、自分の存在も実感できない。
どうでもいい。
つきつめれば破滅願望なのではないでしょうか。
しかるに、30年後の現在。
そうですね、さしずめ今は、
その日本社会全体がなんのために突き進むのかよくわからなくなってしまっている。
空虚な世の中の風潮にも乗れなければ、もう引きこもるしかありません。
この頃ジュリーは「カサブランカ・ダンディ」とか「OH!ギャル」なんかを歌っていて、
人気絶好調。
元祖ビジュアル系といってもいいかな。
毎週のベストテン番組を見て、誰もが同じ曲をヒット曲として認識出来た時代ですね。
このジュリーが孤独でニヒリスティックな青年役、
というところがまた良かったのでしょう。
マサカの展開で幕を閉じるこの作品。
こういう破れかぶれも、アリとしてしまう・・・
それがやはりこの時代の熱気ならではなのかも。
当たり前ですが他の登場人物も皆若くて、思わず笑っちゃいますよ。
ほんのちょっと出てくる水谷豊は交番のおまわりさん。
どれだけ知った顔が出てくるか、そういう見方でも楽しめそうです・・・
太陽を盗んだ男 [DVD] | |
長谷川和彦,レナード・シュレイダー | |
ショウゲート |
「太陽を盗んだ男」
1979年/日本/147分
監督:長谷川和彦
出演:沢田研二、菅原文太、池上季実子、北村和夫、神山繁、西田敏行