映画と本の『たんぽぽ館』

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ヒッチコック

2013年11月13日 | 映画(は行)
ヒッチコック監督の真実



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あまり映画に詳しくない方でも、おそらく誰もが知っている、
アルフレッド・ヒッチコック監督。
本作はその彼の成功を描く伝記というわけではなく、
彼の最大ヒット作である「サイコ」製作秘話という筋立てになっています。



時は1960年。
既に、彼は様々なヒット作を世に送り出していて、絶大な人気を得ていたのですが、
アカデミー賞受賞には至っていないのです。
そろそろ落ち目なのでは・・・という世間の雰囲気もある、そんな時。
彼は実在の殺人鬼をモデルにした「サイコ」の製作を企画するのですが、
あまりにも斬新と言うか猟奇的なため、資金が集まらず、
ついに私財を投じて映画製作にとりかかります。
その頃のヒッチコック監督を描いています。



本作は、ただ映画に打ち込む偉大な人物という描き方はしていません。
彼の倒錯性や嫉妬深さ、コンプレックス・・・
そういう部分を容赦なく描き出します。
とくに、何やら妻との関係に緊張感をはらんでいくのですが、
そのあたりが、何か事件にでも発展するのではないかと思わせるほど。
さすがヒッチコックを描く作品だけあって、このあたりの表現が上手い!
ヒッチコックはどう見ても過食でアルコール摂取過多。
それはストレスから来ていることも十分見て取れますが、
これではいかにも体に悪い・・・。
メタボも当然だし、生活習慣病へまっしぐらですね。
ヒッチコック監督独特の太っちょのシルエット。
それは一見ユーモラスではありますが、
実はこのようにストレスを抱え込んだ証でもあったわけなんですねえ・・・。



シャワーシーンで有名な女優ジャネット・リーはスカーレットヨハンソンが演じていますが、
女性はほんとに化粧で変わりますね。
まさにあの時代の、「女優」になりきっています。
化粧、髪型、ファッション、心なしか体型まで当時風のように思えるのです。
こういう役、やっていて楽しかったのではないかな、と想像します。

 

2012年/アメリカ/99分
監督:サーシャ・ガバシ
出演:アンソニー・ホプキンス、ヘレン・ミレン、スカーレット・ヨハンソン、トニ・コレット、ダニー・ヒューストン

人物の掘り下げ度★★★★☆
満足度★★★☆☆