映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

「ぼくのともだち~Maru in Michigan~」ジョンソン祥子 

2013年11月15日 | 本(その他)
なんか変なのが来ちゃったよ・・・

ぼくのともだち ~Maru in Michigan~
ジョンソン 祥子
新潮社


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柴犬マルと一茶くん。
はじめましての瞬間から、かけがえのない存在になるまでの日々を綴った、
ほっこりフォトエッセイ。


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「ことばはいらない」につぐ、
柴犬マルと一茶くんのフォトエッセイです。


近頃ブログをいつも拝見しているので、
この本は買わなくてもいいか・・・と思っていたのですが、
本屋の店頭にあるのをみて、やはり手が出てしまいました。
本作は、ミシガン州で暮らす著者とご主人、
そして愛犬のマルのもとにやってきた赤ちゃん、一茶くんが
一歳の誕生日を迎えるまでを綴っています。


この方の撮る写真もステキなのですが、
添えてある文章も又愛情にあふれ、ユーモアに富んでいていいのですよね。
こんな小さな赤ちゃんと犬を一緒にしておいて大丈夫なのかと、
犬と暮らしたことのある私でもふと思うのですが、
そこはやはり、ただ漫然と一緒にしたわけではないのです。
赤ちゃんが生まれる前から、
赤ん坊の鳴き声のCDを聞かせたり、人形を抱いてみせたりと、
訓練を重ねていたそう。
その頃のブログなどを拝見すると、
赤ちゃんが生まれても、絶対マルも変わらずに可愛がる!
という決意が見えるところがあったりして、
本当に、3人家族にもう一人の家族を迎えるのと同じなんですね。


赤ちゃんを見て、「なんか変なのが来ちゃったよ・・・・・」と、
首を傾げるマルが、なんとも愛らしい。
それから、私が好きなのは、
マルのひげや耳をいじり放題、引っ張り放題の一茶くんに、
迷惑そうな顔をしながら、ただ耐えているマル。
よく怒らずに我慢してますね。
えらい!! 
この困った顔のマルちゃんが大好きです。


全く頼りなげな赤ちゃんが、どんどん大きくなって、
寝返りを打って、おすわりをして、
ハイハイをして、立ち上がり歩き始める。
そんなこの一年。
どこかで犬と人の脳の発達段階が逆転していくのですね。

「成長ってうれしいけれど、どこか寂しいね。」

という著者の気持ちが胸にしみます。


ミシガンの風景は、我が北海道によく似ています。
つかの間の夏と長い冬。
広い野原を駆け回って、たくましく育てよ少年。
幸せに一生をまっとうせよ、マル。

「ぼくのともだち~Maru in Michigan~」ジョンソン祥子 新潮社
満足度★★★★★