映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

388

2013年11月29日 | 映画(さ行)
見えざる悪意に翻弄され壊れていく男



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高級住宅街アレッタ通り388番地の一軒家。
若い夫婦が幸せそうに暮らしています。
しかし、本作は何者かがこの家を盗み見ているシーンで始まります。

・・・というよりは、全編盗撮・盗聴でできているのがこの作品。
この夫婦、ジェームズとエイミーを外から見張り続けている何者かは、
玄関先に置いてある家の鍵の隠し場所をも盗み見てしまい、
ついに家の中に侵入。
家の何箇所かに隠しカメラを取り付けてしまいます。
そしてある日、妻エイミーが置き手紙を残して姿を消します。

誰も居ないのに突然場違いに明るいメロディーを流し出すパソコン。
また、飼い猫がいつの間にか別の猫にすり替わってしまっている・・・。
何者かの悪意を感じたジェームズは警察に訴えるのですが、
奥さんが家出したくらいでは警察は動いてくれません。
エイミーの姉は妹と連絡をとれないのを不審に思い、ジェームズを疑い始める。
ジェームズは、これを、
昔いじめた友人の仕業と勝手に勘違いをし、
刃物を持って友人宅に押しかけるのですが・・・。



隠しカメラの映像ということで、
私達ははじめからこれが何者かの悪意によるものだということはわかっているのですが、
その正体がわかりません。
誰が何の意図を持ってこんなことをしているのか、
その不気味さが背筋を寒くさせます。
まあ、それにしてもこのジェームズの反応は過剰ではありますね。
昔からいじめをしていたというので、
もともといけ好かないヤツだったのは想像がつきますが・・・。
しかし、“見えざる悪意”に
次第次第に追い詰められていく様子が見事に描かれていたと思います。
職場のパソコンにまで送られてくる不気味なメールや映像。
(何しろ、職場にも隠しカメラが仕組まれている。)
全く仕事も手に付かないようで、
後ろのほうで彼を眺めながらヒソヒソと
困ったもんだと話している上司だか同僚だかの姿があったりするのも、何気なくリアル。



日常生活を何気なく送れるということは、
それだけで幸いなことではありますね。
よくできた不条理サスペンスでした。



388 [DVD]
ランドール・コール,ヴィンチェンゾ・ナタリ
アルバトロス


2011年/カナダ/87分
監督・脚本:ランドール・コール
製作総指揮:ビンチェンゾ・ナタリ
出演:ニック・スタール、ミア・カーシュナー、デボン・サワ、シャーロット・サリバン、クリスタ・ブリッジフ
不気味さ★★★★☆
満足度★★★☆☆