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「清州会議」 三谷幸喜

2013年11月05日 | 本(その他)
笑える攻防戦

清須会議 (幻冬舎文庫)
三谷 幸喜
幻冬舎


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信長亡きあと、清須城を舞台に、歴史を動かす心理戦が始まった。
猪突猛進な柴田勝家、
用意周到な羽柴秀吉。
情と利の間で揺れる、丹羽長秀、池田恒興ら武将たち。
愛憎を抱え、陰でじっと見守る、お市、寧、松姫ら女たち。
キャスティング・ボートを握るのは誰なのか?
五日間の攻防を「現代語訳」で綴る、笑いとドラマに満ちた傑作時代小説。


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映画公開が待ちきれず、読んでしまいました。
「清州会議」。
信長、光秀、秀吉・・・。
このラインのなんと面白いこと。
これらの描き方でそれぞれの著者の個性も出るので、
結末はわかりきっているものの、やめられません。


本作は、信長亡き後織田家の跡継ぎを誰とするか、
それを決めるための会議「清州会議」を描いています。
あくまでも会議なので、斬り合いはありません。
けれど、なんとか自分の有利な方向へ話を運ぼうとする、
柴田勝家と羽柴秀吉の裏工作が、会議前から炸裂していきます。


文体はすべて「現代語訳」なので、非常に読みやすい!!
そして、今どきのニュアンスにあふれた言葉遣いで、
登場人物たちの心象がアリアリと浮かび上がります。
いや、でもこれは勝負ははじめから見えていますよね。
武将としては才能が有るかもしれないけれど、単純でまっすぐな柴田勝家が
秀吉に勝てるわけがありません。
秀吉には黒田官兵衛もついていますしねえ・・・。
それにしても、お市の方の柴田勝家を見る目が厳しすぎて、気の毒なくらいです。

「体臭がきつい男の人って、年取ってもずっと臭いのね。
それどころか、加齢臭もプラスされて、なんだか凄いことになっていた。」

・・・ですもの。
あくまでも、にくい秀吉を潰すために、
その大嫌いな勝家と結婚しようというお市の方の覚悟もものすごいです・・・。


出世欲にギラギラの人、
淡白な人、
自分の役割にひたすら忠実な人、
ただのお馬鹿・・・、
何時の世にも実にいろいろな人が居て、
だから世の中は面白い!!
筋立てはわかってしまったけれど、
やっぱり映画も楽しみです!!
「笑っていいとも」に出演した大泉洋さん(秀吉役)がおっしゃっていましたが
今回は特殊メイクが多くて
彼自身も耳を大きくしているし、
信長の血筋はみな鼻筋を通しているのだとか・・・
そういったところも、なんだか楽しみです!

「清州会議」三谷幸喜 幻冬舎文庫
満足度★★★★★