映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

「ダークルーム」 近藤史恵

2013年11月02日 | 本(ミステリ)
じわじわと怖い、女の情念

ダークルーム (角川文庫)
近藤 史恵
KADOKAWA / 角川書店


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シェフの内山が勤める高級フレンチレストランに毎晩ひとりで来店する謎の美女。
黙々とコース料理を口に運ぶ姿に、
不審に思った内山が問いかけると、
女は意外な事実を語り出して…(「マリアージュ」)。
立ちはだかる現実に絶望し、窮地に立たされた人間たちが取った異常な行動とは。
日常に潜む狂気と、明かされる驚愕の真相。
ベストセラー『サクリファイス』の著者が厳選して贈る、謎めく8つのミステリ集。
書き下ろし短編収録。


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冒頭「マリアージュ」では、
高級フレンチレストランに毎晩一人で来店する女性が登場。
いつも料理をゆっくりと堪能し、幸せそうに帰っていきます。
でもフレンチを毎日食べるのって、実はきついですよね。
第一、ものすごくお金もかかる。
さて、この女性の行動の謎は・・・?


次の「コワス」はちょっと怖い。
明充が以前付き合っていた恋人知子が自殺します。
それは明充が別の女性を好きになり、知子に別れを告げたことが原因でした。
しかし、その後新しい彼女の行動が次第に知子に似てくるという・・・。
明充にとってもそれは恐怖なはずなのですが、
彼の最期のたかのくくり方が意外というか、
「そうなの?」と唖然とさせられるというか・・・。


「SWEET BOYS」は、今度は珍しく男が怖いストリー。
マンションの隣室同士になった男性ペアと女性ペア。
いつしか親しくなり、二組のカップルとなってそれぞれ結婚に至ったのです。
しかし、一人の女性はコドモを出産してまもなく育児ノイローゼで自殺。
もう一人の女性は、結婚前にどちらの男性とも関係があったことに悩むのですが・・・。
この物語の裏に潜む、秘密。
それはほとんど「悪意」と言っていいほどの・・・。
う~、やだやだ。


表題作「ダークルーム」は、
ある男性の身近な女性が強烈な毒を放ちます。
読んだハナから、こいつはあやしいと思ったのですよね・・・。
これはほとんど「名も無き毒」にちかい。
なんだか自分が女ながら「女って怖い・・・」と思ってしまう作品が多かったと思います。


「ダークルーム」近藤史恵 角川文庫
満足度★★★☆☆