映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

「死層 上・下」パトリシア・コーンウェル 

2014年01月05日 | 本(ミステリ)
なんてハードでスリリングなスカーペッタの一日

死層(上) (講談社文庫 こ 33-37)
池田 真紀子
講談社


死層(下) (講談社文庫 こ 33-38)
池田 真紀子
講談社



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スカーペッタのもとに、カナダの化石発掘現場で撮影したと思しき、
耳の断片を写した謎の画像メールが寄せられた。
一方、ボストンでは女性の変死体が発見される。
被害者はマリーノのツイッターのフォロワーだった。
疑惑をかけられたマリーノを救えるのか。
二つの事件に関連はあるのか。
スカーペッタが動く。(上)

カナダとボストンで発生した奇怪な事件。
これら二つの事件の被害者と、不自然な死に方をした男が、
一本の線となってつながった。
さらに、マリーノが罠に落ち、
スカーペッタも行動をスパイされていたことが判明する。
殺人に愉悦する恐るべき真犯人に、スカーペッタが迫る! 
「検屍官」シリーズ第20弾。(下)


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お楽しみの検屍官シリーズ新刊です。
本作上巻では、スカーペッタの非常に多忙かつ悲惨な一日が展開します。

○事件性のある謎のメールが送られてきた。

○海中に浮かぶ死体を引き上げる。(損傷をおそれ、自ら背負って・・・)

○その死体の初歩段階的状態確認。

○とある裁判で証言をする。上記の仕事のため大遅刻をし、過大な罰金を課せられる。
 おまけに事件の内容とは全く関わらないと思われるベントンとの不倫まで持ちだされ、うちのめされる。

○しばらく禁酒をしていたマリーノがまた飲み始め、
 ツイッターを始めたおかげで、殺人の疑惑を受けたことを知る。

○彼女と仕事を組んでいるルークという若い男性とのことをベントンに疑われる。
 おまけにそのベントンにまとわりつく女が・・・。

○猫を拾う。

うーん、なんてハードでスリリングな一日。
自分の年齢を自覚し、
なおかつ若い男性を求めてしまうおのれの内面に狼狽するスカーペッタ。
そのようなことはお見通しのように彼女を観察するベントン。
私としては、こんなふうに微妙な場面にくすぐられました。
結婚してさえも安住の地ではない男女の愛・・・。
う~む、大変です。


事件の方はカナダ・ボストンともう一つ、不自然な死に方をした男、
更にはあのスカーペッタがうちのめされた裁判の事件が一つの線でつながる、
という部分が、大変面白くはあるのですが、
都合良すぎと思わなくもない。
微妙・・・。
まあ、それは読後感で、
読み進むうちは確かに驚きの連続。
スリリングでした!


それにしてもこの本、文庫(350ページ程度)なのに一冊1210円。
高すぎ・・・。


「死層 上・下」パトリシア・コーンウェル 講談社文庫
満足度★★★★☆