映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

ビフォア・ミッドナイト

2014年01月22日 | 映画(は行)
年月が愛を風化させていく・・・と思わせて、実はロマンチックの見本



* * * * * * * * * *


同監督と同俳優で、実際の年月を経て作られているラブロマンスシリーズの第3作です。
一作目1995年「ビフォア・サンライズ」
二作目2004年「ビフォア・サンセット」
そして2013年本作。
私は前2作をDVDで見ていたので、
この度の公開を楽しみにしていました。



ドラマティックな恋の末、双子の娘に恵まれ、
パリで暮らしているジェシー(イーサン・ホーク)とセリーヌ(ジュリー・デルピー)。
友人に招かれ、ギリシャの海辺の町にバカンスに来ています。
ジェシーはシカゴに元妻と暮らしている息子のことが気がかり。
セリーヌは環境運動家としての仕事に不安を覚えています。
その夜、友人たちが双子を預かってくれることになり、
二人だけでロマンチックな一夜を過ごすはずでした。
しかし、些細な事から口論となり・・・。



セリーヌはこれまでの鬱憤が爆発したように不満を並び立てます。

いつも自分ばかりが育児と家事でクタクタ。どうして男ばかり自由なのか。
いつぞやのあの女と浮気したでしょう。
今の私と初めて列車の中で会ったとしたら、声をかける?


あんなにドラマチックな恋をして、一緒になった挙句が、
やっぱりこうなってしまうのか・・・。
極めて現実的であります。
どう転ぶかわからない、延々と続く二人の会話の応酬が
なかなかスリリングでもあります。
でもね、少なくてもオバサンにはセリーヌのその気持、よくわかります。
多くのこの年令の女性が陥る所ですね。
現実だったら、本当に二人の仲はこれっきりかも知れません。
・・・でもこれ、一見普通の恋人たちのドキュメンタリー風ドラマでありながら、
実はやっぱり、架空のラブロマンスなのです。
ラストシーンで、それを確信しました。
こんなにロマンチックに話を修復しようとするオトコなんているはずがありません。
・・・が、私は不覚にもここで涙がこぼれてしまいました。
うそだよ、こんないいオトコいるわけない、と思いながらも、
どこか夢見ているのかもしれませんねえ・・・。
負けました・・・。
見事にいい年したオバサンの乙女心を刺激してくれました・・・。



前2作、見たとはいえブログを始める以前で、
ほとんど忘れているので是非また見たいと思います。
若い二人を、それこそタイムマシンで時を遡るようにして
見るというのもよさそうです。


「ビフォア・ミッドナイト」
2013年/アメリカ/108分
監督:リチャード・リンクレイター
出演:イーサン・ホーク、ジュリー・デルピー、シーマス・デイビー=フィッツパトリック、ジェニファー・プライアー、シャーロット・プライアー
現実度★★★★☆
ロマンス度★★★★☆
満足度★★★★☆