高級ブランドのドレスや靴でも、心のうつろは埋まらない

* * * * * * * * * *
アメリカ、ハリウッドで2008年~2009年、
実際にあったティーンエイジャーによる窃盗事件を元にしています。

セレブが邸宅を構える高級住宅地。
セレブの華やかな生活に憧れる少女、ニッキーら5人組が
いたずら半分にセレブの豪邸へ忍び込み、ブランド品を盗み出すのです。
彼女たちに罪の意識はほとんどなく、
何度も繰り返しては、クラブに集まる友人たちにありのままを自慢話として話したりする。
しかし、そこまで繰り返ば、
さすがに防犯カメラに写ったり、人の口から伝わったり・・・、
警察の捜査が進みます・・・。
このあまりにもあっけらかんとして悪びれない少女たちに、
気持ちは暗澹としてきます。
本作は、「こんな悪いことをしてはいけませんよ」という作品ではありません。
このような犯罪(本人たちは犯罪とは思っていないようですが)を犯す少女たちの
心の空虚さを描き出しているのです。

高価な装飾品や高級ブランド、
彼女らはこれを生きるために盗むのではない。
もちろん貧しい人に与えるためでもなく、
セレブへの抵抗でもない。
ただ自分達の空虚な欲望のため。
彼女たちがどれだけステキなドレスやバッグや靴を盗んで身につけても、
決して満足は得られないだろうと思えるのです。
彼女たちが満たされないのは、ドレスやアクセサリがないからではないのですね。
他にやりたいことも将来へ向けての夢も何もないから。
う~ん、自分が同じ年代の時にそんなものがあったかどうか、
と問われればそれはあやしいのですが・・・。
時代的なこともあるのでしょう。
私達の世代はまだ、「未来」に期待することができたのですが、
今の子どもたちは・・・。
豊かすぎるがゆえに、心の中の大事な何かが育っていないような気がする・・・。
あまりにも空虚で、かわいそうになってしまうくらいです。

クラブで必死に何度もお互いに写真を撮り合っている彼女たち。
そうしてSNSで自己の存在をPRしなければ、
自分自身も忘れられ、消えてしまう気がするのでしょうか。
インターネットでセレブの家の場所やスケジュールの情報を簡単に検索できてしまうことも問題。
こうしたICTの発達が、私達の心の有り様に影を落としているような気がしてならない。
かくいう私のこの文章すらもその恩恵を受けているわけではありますが・・・。
今はICTを誰もが本当に有効活用するようになるまでの過渡期だと思いたいです。
有効活用するというよりも、そう、それに振り回されず普通に人と連絡を取るための道具。
いや、今もそうであるはずなんですが・・・。

それにしても、玄関マットの下に鍵を置いてあったり、
窓に鍵がかかっていなかったり、
セレブなら当然ホームセキュリティ万全と思えるのですが、
そうでなかったり・・・
あまりにもずさんなのも問題ではありますね。
本作、実際に被害にあったパリス・ヒルトンが自宅をロケ地として提供したそうです。
そして又、これは私のやっかみかも知れませんが、
あのように高級ブランドのドレスやら靴やらバッグやらがこれみよがしに並んでいたら、
少しぐらい分けてもらってもいいじゃん、
という気にならないほうがおかしいかも、とは思います。
あるところにはある。
しかし、ないところにはない。
一体“セレブ”という人たちは
なぜに“セレブ”なんだろう。
全然理解できていない庶民の私です。

ちなみに題名の「ブリングリング」とは
「キラキラした奴ら」くらいの意味だそうです。
本作中もこのグループ中の黒一点の男の子マークが一番心配性(というかマトモ?)。
やはり今時の男女はこんなふうらしい。
「ブリングリング」
2013/アメリカ・フランス・イギリス・日本・ドイツ/90分
監督:ソフィア・コッポラ
原作:ナンシー・ジョー・セールズ
出演:エマ・ワトソン、レスリー・マン、タイッサ・ファーミガ、クレア・ジュリアン、イズラエル・ブルサール、ケイティ・チャン
キラキラ度★★★★☆
空虚さ★★★★☆
満足度★★★☆☆

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アメリカ、ハリウッドで2008年~2009年、
実際にあったティーンエイジャーによる窃盗事件を元にしています。

セレブが邸宅を構える高級住宅地。
セレブの華やかな生活に憧れる少女、ニッキーら5人組が
いたずら半分にセレブの豪邸へ忍び込み、ブランド品を盗み出すのです。
彼女たちに罪の意識はほとんどなく、
何度も繰り返しては、クラブに集まる友人たちにありのままを自慢話として話したりする。
しかし、そこまで繰り返ば、
さすがに防犯カメラに写ったり、人の口から伝わったり・・・、
警察の捜査が進みます・・・。
このあまりにもあっけらかんとして悪びれない少女たちに、
気持ちは暗澹としてきます。
本作は、「こんな悪いことをしてはいけませんよ」という作品ではありません。
このような犯罪(本人たちは犯罪とは思っていないようですが)を犯す少女たちの
心の空虚さを描き出しているのです。

高価な装飾品や高級ブランド、
彼女らはこれを生きるために盗むのではない。
もちろん貧しい人に与えるためでもなく、
セレブへの抵抗でもない。
ただ自分達の空虚な欲望のため。
彼女たちがどれだけステキなドレスやバッグや靴を盗んで身につけても、
決して満足は得られないだろうと思えるのです。
彼女たちが満たされないのは、ドレスやアクセサリがないからではないのですね。
他にやりたいことも将来へ向けての夢も何もないから。
う~ん、自分が同じ年代の時にそんなものがあったかどうか、
と問われればそれはあやしいのですが・・・。
時代的なこともあるのでしょう。
私達の世代はまだ、「未来」に期待することができたのですが、
今の子どもたちは・・・。
豊かすぎるがゆえに、心の中の大事な何かが育っていないような気がする・・・。
あまりにも空虚で、かわいそうになってしまうくらいです。

クラブで必死に何度もお互いに写真を撮り合っている彼女たち。
そうしてSNSで自己の存在をPRしなければ、
自分自身も忘れられ、消えてしまう気がするのでしょうか。
インターネットでセレブの家の場所やスケジュールの情報を簡単に検索できてしまうことも問題。
こうしたICTの発達が、私達の心の有り様に影を落としているような気がしてならない。
かくいう私のこの文章すらもその恩恵を受けているわけではありますが・・・。
今はICTを誰もが本当に有効活用するようになるまでの過渡期だと思いたいです。
有効活用するというよりも、そう、それに振り回されず普通に人と連絡を取るための道具。
いや、今もそうであるはずなんですが・・・。

それにしても、玄関マットの下に鍵を置いてあったり、
窓に鍵がかかっていなかったり、
セレブなら当然ホームセキュリティ万全と思えるのですが、
そうでなかったり・・・
あまりにもずさんなのも問題ではありますね。
本作、実際に被害にあったパリス・ヒルトンが自宅をロケ地として提供したそうです。
そして又、これは私のやっかみかも知れませんが、
あのように高級ブランドのドレスやら靴やらバッグやらがこれみよがしに並んでいたら、
少しぐらい分けてもらってもいいじゃん、
という気にならないほうがおかしいかも、とは思います。
あるところにはある。
しかし、ないところにはない。
一体“セレブ”という人たちは
なぜに“セレブ”なんだろう。
全然理解できていない庶民の私です。

ちなみに題名の「ブリングリング」とは
「キラキラした奴ら」くらいの意味だそうです。
本作中もこのグループ中の黒一点の男の子マークが一番心配性(というかマトモ?)。
やはり今時の男女はこんなふうらしい。
「ブリングリング」
2013/アメリカ・フランス・イギリス・日本・ドイツ/90分
監督:ソフィア・コッポラ
原作:ナンシー・ジョー・セールズ
出演:エマ・ワトソン、レスリー・マン、タイッサ・ファーミガ、クレア・ジュリアン、イズラエル・ブルサール、ケイティ・チャン
キラキラ度★★★★☆
空虚さ★★★★☆
満足度★★★☆☆