映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

春よこい

2014年01月12日 | 西島秀俊
それでも愛せるか?



* * * * * * * * * *

佐賀県の唐津市が舞台だね。
海辺の町。地方色豊かなのがなんだかいい。
小学生のツヨシは、母(工藤夕貴)と、ちょっとボケたおじいちゃんとの3人暮らし。
 お父さんは4年前から居ないのだけど、その頃まだ幼かったので、顔もよく覚えていません。
 お父さんに会ってみたい・・・と願うツヨシですが・・・。
実はその父(時任三郎)は、4年前殺人を犯し、そのまま家族を捨てて逃亡してしまった。
 今は指名手配中で、交番に写真が貼ってあったりする。
そのため、ツヨシはクラスのみんなと馴染めず、虐められているんだね。
だけれどツヨシは、父を恨みに思うこともなく、つい交番の写真をしげしげと眺めてしまう。
そんな光景をみて不憫に思ったのが新聞記者の利夫(西島秀俊)。
実はツヨシの担任教師が、利夫の妹なのだった!! 
 だから妹からツヨシが虐められているという話を聞いていたんだね。
それで、交番の父の指名手配写真を見ているツヨシのことを記事にしてしまったんだ。
 美談としてね。
しか~し、この小さな町の人々の反応は利夫の予想外のものだった。
ようやく記憶の薄れていた事件が、また生々しく蘇ってしまったんだよね。
 ツヨシはますますいじめを受けるし、母も職を失ってしまう。
ひゃー、善意のつもりが全く裏目に出てしまったという・・・。
 利夫さん、考えが至りませんでした!!


そんなわけで、利夫はツヨシの母にお詫びのため足繁く通うようになり・・・
 それとなく気になる存在になっていくんだな。
始めは全くの拒絶だけだったんだけどね。
しかし、本作は家族の絆の物語だ。
 愛する家族が罪を犯したとして、
 そしてそのために罪のない自分まで周囲から阻害されたり嫌な目に合わされたりすることになって、
 それでもあなたはその家族を愛せるだろうか

 ・・・ということを訴えているわけですね。


実は私は時任三郎さんのファンでもあるのさっ!
へえ、初耳ですが。
だって、これまで見た映画にはあんまり出てこないもんね・・・。
本作の時代設定は昭和末期、昭和63年・・・とかになってましたっけ?
だから、実際結構古い作品なのかとはじめ、思ったのですけどね。
 それにしては西島さんがそんなに若いわけではない。
確かにほんの5年ほど前の作品だもんね。
けど、なんだかノスタルジーを感じたのは、つまりは映画作りのうまさなんだろうか。
それもあると思うし、この海辺の町の雰囲気でもあるんだろうな。
西島秀俊さんも時任三郎さんも結構長髪なのがね、
 最もその頃の雰囲気を醸し出してるんじゃないかな。
そうかも。でも、そういう「ひと昔」じゃなきゃ成り立たない部分があるのだな。
えー?そうなの?
新聞記者が、ツヨシを隠し撮りして実名で記事にしちゃった。
 そんなこと今じゃありえないでしょ!!
ああ、そうだよねー。
 なんかあの写真とってるところで違和感を覚えたんだ。
 今なら肖像権ってのがあって、たとえ記事にしなくたって、
 本人に黙って写真を撮るなんていうのもほとんど犯罪行為だよねえ・・・
時代は変わるものです。
うーん、で、話としてはわかるんだけど、
 残念ながらなんだか伝わってくるものが薄いというか・・・。
 あんまり胸に迫らなかったなあ・・・。
残念でした。せっかく大好きな俳優二人揃いだったのに。

春よこい [DVD]
工藤夕貴,西島秀俊,時任三郎
ビクターエンタテインメント


「春よこい」
2008年/日本/108分
監督:三枝健起
出演:工藤夕貴、西島秀俊、時任三郎、宇崎竜童、吹石一恵

一昔前の日本度★★★★★
西島秀俊の魅力度★★★☆☆
満足度★★☆☆☆