映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

ナチス第三の男

2019年01月28日 | 映画(な行)

ある暗殺計画がもたらすもの

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実話を基にしています。
第二次大戦下ナチスドイツで、ヒトラー、ヒムラーに続く第三の男と称されたラインハルト・ハイドリヒ。
150万人を超えるユダヤ人虐殺の首謀者でもあります。
本作前半では、このハイドリヒ(ジェイソン・クラーク)が海軍を不名誉除隊となり(女遊びが原因)、
しかし妻・リナ(ロザムンド・パイク)の後押しで、ナチス党に入会しメキメキ頭角を現していきます。

そして後半では、チェコの亡命政府から密命を受けた二人の若者
ヤン(ジャック・オコンネル)とヨゼフ(ジャック・レイナー)の暗殺チームの動きが語られます。
二人はプラハへ潜入し、地元の協力者たちと合流。
ハイドリヒの日課などを綿密に調べ上げ、暗殺計画を練っていきます。
そしていよいよ、ハイドリヒ暗殺計画決行の朝・・・!

ハイドリヒは妻に押されてナチスで力をつけていきますが、
終盤ではもう妻でも制御できない、冷酷な怪物になってしまっています。
ここの彼の心境の変化というか、
もしかすると実は内心罪悪感にかられていたとか、
全然そうではないただのサディストだとか・・・
そういう踏み込んだ描写がなかったのがちょっと物足りない。



実は私「ハイドリヒを撃て」という作品を以前見ていまして、
そちらではずっとハイドリヒ暗殺計画の詳細を語っています。
それで、ものすごく衝撃を受けたのです。
かろうじて暗殺は成功したものの、その後の暗殺チームの運命と、
そしてまた報復で大量虐殺された民間人のこと等々・・・。



それを知っていたので、この度はさほどの衝撃を感じなかったのかもしれないのですが、
どうもハイドリヒ側と暗殺チーム側、双方を語ろうとしたことで、
逆にどっちも中途半端になってしまっているような気がします。
じっくり暗殺チームを追った「ハイドリヒを撃て」の方に私は軍配をあげたいです。

→「ハイドリヒを撃て」

<ディノスシネマズにて>
「ナチス第三の男」
2017年/フランス・イギリス・ベルギー/120分
監督:セドリック・ヒメネス
原作:ローラン・ビネ
出演:ジェイソン・クラーク、ロザムンド・パイク、ジャック・オコンネル、ジャック・レイナー、ミア・ワシコウスカ
歴史発掘度★★★★★
満足度★★★☆☆