映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

「ダンジョン飯 1」 九井諒子

2015年02月22日 | コミックス
ホントにお腹こわさない?

ダンジョン飯 1巻
九井 諒子
KADOKAWA / エンターブレイン


* * * * * * * * * *

九井諒子、初の長編連載。待望の電子化! 
ダンジョンの奥深くでドラゴンに襲われ、
金と食料を失ってしまった冒険者・ライオス一行。
再びダンジョンに挑もうにも、
このまま行けば、途中で飢え死にしてしまう……。
そこでライオスは決意する
「そうだ、モンスターを食べよう!」
スライム、バジリスク、ミミック、そしてドラゴン!! 
襲い来る凶暴なモンスターを食べながら、
ダンジョンの踏破を目指せ! 冒険者よ!!


* * * * * * * * * *

「ひきだしにテラリウム」で知った九井諒子さんですが、
今度の新作がすごい!
RPGゲームなどでお馴染みのダンジョンを冒険するといえば、
ごくふつうの物語ですが、
なんとそのダンジョンに出現するモンスターを食べてしまおうというもの。
確かに、奥深いダンジョンを旅するためには、
それなりの装備と食料が必要ですが、
そのためには資金も必要。
現実的ですねえ・・・。
水や食料が不足して立ち往生するRPGゲームのパーティなんて
聞いたことがないけれど・・・・。
しかし、出会ったモンスターを食料にするとなれば
非常に合理的です。
本当に食べられるのかとか、美味しいのかは別として・・・。


本作の冒険メンバーは勇者のライオス、
魔法使いのマルシルと鍵師のチルチャック。
実はライオスの妹がダンジョン奥深くでドラゴンに食べられてしまったので、
なんとしても救出に向かわなければならないのです。
(死者は、ちゃんと体さえあれば蘇らせることができる・・・という、
まあ、お約束があるので。)
そこにモンスター料理の達人センシが加わり、
いかにもまずそうなモンスターを、高級食材に変えていく・・・と。
マルシルは女の子なので、モンスターなんか絶対に食べられない、
と、がんばるのですが、
空腹には勝てず、恐る恐る食してみれば、これが意外とイケる。
この料理の仕方が実にリアルに描かれていまして、
妙に食べてみたくなってしまいます。


例えば「スライム」の料理法。

「このままではとても食えないが、柑橘類の果汁を加えた熱湯でよく洗い、
水分をよく拭きとるかあるいは塩をもみ込み、
じっくり天日干しすれば高級食材の完成だ。」

ははあ・・・クラゲとか、ナマコとか、そんなイメージでしょうか。
食べ物ばかりでなく、さすがに九井諒子さん、
魔物についても素晴らしくイマジネーション豊かです。
例えば「動く鎧」というモンスターが登場します。
あの西洋の甲冑が、中がカラなのに動きまわり襲い掛かってくる。
これは何かの魔法で動いているのだ、と彼らは思っていたわけです。
そして当然、ヨロイはいくらなんでも食べられるわけはない、と。
しかーし! 
なんとこれは貝のようなカラを持った生物の集合体であった・・・というのですよ。
だからカラから外すのが大変なのだけれど、
食すれば、これもまたヨシ・・・。
なんてユニークなんでしょ。
こんなこと今まで誰も考えつきませんでしたね。
続きも楽しみです。

「ダンジョン飯 1」九井諒子 KADOKAWA ビームコミックス
満足度★★★★☆


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