映画と本の『たんぽぽ館』

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姉と過ごした最後の夏

2022年02月04日 | 映画(あ行)

安楽死について

* * * * * * * * * * * *

日本未公開作品。

アーティストのイネス(アリシア・ビカンダー)は、
日頃疎遠な姉・エミリー(エバ・グリーン)に誘われて旅に出ます。
久々に再会した姉が、イネスを連れて行ったのは、ヨーロッパのとある国の地方。
森の中の屋敷。

そこでエミリーは、自分がガンを患い余命わずかであることを打ち明けます。
ここは、安楽死を望む人々が最後の時を過ごす施設だというのです。
6日後のその時まで一緒にいて、最期を看取って欲しい、と。
いきなり身勝手なことを言い出されて、驚き、怒るイネス。
反発し、ここを去ろうと思いますが・・・。

 

私、以前見た「スーサイド・ツーリスト」という映画を思い出してしまいました。
あれも、余命宣告を受けた主人公が、
病に完全に犯される前に自らの意志で安楽死を遂げさせてくれる施設に赴くストーリー。
しかしその施設は実は別の目的を秘めていた・・・というホラー作品です。
それなので私、本作も穏やかな幕開けからいきなりホラーに豹変するのでは?と、
若干ビクビクしながら見てしまいました。

でもご安心を。
本作はホラーではなくて、姉妹の心の絆の物語でした・・・。

 

結局イネスも、エミリーの決断を受け入れていくようになりますね。
この施設にいるのは、余命宣告を受けた人ばかりではありません。
例えば、サッカーの花形選手だった男は、事故で足が動かなくなり、
人生に絶望して安楽死を望んでいるのです。

そして、実際のその時には、何度も「本当に実行するのですね?」と念を押されます。
直前でキャンセルももちろんOK。
覚悟を決めてここに来たはずの人も、一見落ち着いているようで、
実はやはり不安を抱えている様子も見えます。
そりゃそうですよね。
そして、本人も心が揺れ動くでしょうけれど、つきそう方もしんどいなあ・・・。
(本作中で、この施設は一人で来ても、家族と来ても、OKなのでした)

近年、このように安楽死をテーマに据える作品が多いように思います。
日本では今のところ無理ですが。

 

<WOWOW視聴にて>

「姉と過ごした最後の夏」

2017年/イギリス・スウェーデン・ドイツ/98分

監督・脚本:リサ・ラングセット

出演:アリシア・ビカンダー、エバ・グリーン、シャーロット・ランプリング、
   チャールズ・ダンス、エイドリアン・レスター、マーク・スタンリー

 

終末を考える度★★★★★

満足度★★★☆☆



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