映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

42世界を変えた男

2013年11月10日 | 映画(は行)
やり返さない勇気



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史上初の黒人メジャーリーガーとなったジャッキー・ロビンソンの半生を描きます。
実話に基づいたストーリー、それはずっしりと感動的です。



1947年。
第二次世界大戦が終了し、
平和が訪れ、人々がまた野球に熱中し始めた頃。
ブルックリン・ドジャーズのジェネラルマネージャー、リッキー(ハリソン・フォード)は、
周囲の反対を押し切り、黒人のロビンソン(チャドウィック・ボーズマン)とメジャー契約を結びます。
当時は、人種差別が根強く、黒人が入れない場所が多々ありました。
野球でも、黒人リーグが別にあり、
黒人が白人と同じチームで野球をするなどとは誰も考えたこともなかったのです。
それで、ロビンソンをチームに引き入れたドジャーズには、
あらゆる誹謗中傷が浴びせかけられます。
外部のみならず、チーム内でも彼は邪魔者扱い。
彼を追い出すための署名が行われたりします。
実ははじめからこのような事は予想の範疇でした。
リッキーはロビンソンに言います。
「やり返さない勇気をもて」と。
右の頬を叩かれたら左の頬を差し出せばいい。
というこの言葉。



元々は血気盛んで自尊心の強いロビンソンなのですが、
この言葉を胸に刻み、耐えるのです。
それは結局自分との戦いでもあります。
相手チーム監督のあからさまな差別のヤジに耐えるだけ耐え、
密かに人目のないところで激情を爆発させるシーンには胸が熱くなります。
けれどもこんな時、ついに同じチームのメンバーが彼をかばい始めますね。
時間はかかるけれど、いつか人と人は分かり合える。
人の意識は変わっていく。



最近「やられたらやり返す」というセリフが流行っていて、
私もついノッてしまうわけですが、
やり返さないこともまた、大事なことなのです。
でもこれは主に「暴力」についていっていることなのでしょう。
(言葉の暴力も含めて)
ロビンソンの場合は、自らの野球の力で「やり返」したわけですね。
100倍返し以上かもしれない。
要は卑劣な相手と同じ土俵に上がってしまったら、
それで負け
ということなのかもしれません。
その時はやり過ごすことこそが「勇気」。


その後は彼に続いて多くの黒人がメジャーリーグに進出してきました。
今では当たり前すぎて、誰も疑問に思ったりしません。
そしてこういう過去があったことすらも忘れられているというのは、
ある意味、幸いなことでもあります。
でもこうして、歴史を振り返ることもまた意義がありますね。
人種の枠を越えて、共にいて当たり前という風潮を創りだす、
その勇気ある第一歩を踏み出したジャッキー・ロビンソンを描く、
大変力強い一作でした。



「42」は、ジャーキー・ロビンソンの背番号ですが、
これは今もアメリカの全球団で永久欠番となっているそうです。



ハリソン・フォードの気骨のある老ジェネラルマネージャー役、ステキでした。
かつて第一線を歩んだ人が歳を重ねると、
こんな感じで若い人に道を指し示し、後押しする人になるんだな・・・と、
納得できてしまいます。
それはハリソン・フォード氏本人のイメージとも重なり、
すばらしいキャスティングだと思いました。


「42世界を変えた男」
2013年/アメリカ/128分
監督:ブライアン・ヘルゲランド
出演:チャドウィック・ボーズマン、ハリソン・フォード、ニコール・ベハーリー、クリトファー・メローニ、アンドレ・ホランド

人種差別の歴史度★★★★★
満足度★★★★★

神童

2013年11月09日 | 西島秀俊
ピアノの墓場に差し込む光



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これは、さそうあきら同名コミックの映画化です。
あのー、この作品、西島秀俊カテゴリーには無理があるのでは・・・?
いやいや、いいんですよ。
単なる端役ではない。何しろ、主人公のお父さんなんだからさ。
はあ・・・、そうなんですか・・・?


はい、主人公は天才ピアニストの少女13歳、うた(成海璃子)。
彼女はピアノの才能に恵まれながら、その才能を持て余しているんだ。
でもある時、音大を目指しているワオ(松山ケンイチ)と知り合う。
彼は正直、ピアノは下手っぴなんだけど、ピアノが好きな事は人一倍。
うたは、彼との交流を通して音楽の喜びに目覚めていく。
しかし、そのうち彼女は自身にかすかな変調を覚えていく・・・と。


なんといっても、成海璃子ちゃんがよかったよねー。
そうそう、今現在は「ちゃん」付けは失礼かと思うけど、
当時の今作中は「ちゃん」と呼びたい。
感情が激しくて、男の子にも掴みかかっていく乱暴ものでもある。
でも全然憎めないんだよね。
強くしなやかでみずみずしい自分らしさ。
でも、ピアノと共にあることにまだ納得できていない。
まさに、“少女”なんだなあ・・・。
同級の男の子とのエピソードが良かったよね。
うん、つい気になる子を苛めたくなっちゃうのね。
けど、やっぱり男の子でナイトでもあったりする。
たくましく育てよ、少年。って感じ。
クラスの男の子たちは、うたのことを
「口が悪くて乱暴で貧乏だけど、よくみたら美人だ」
なんて言ってた。
確かに・・・!
ワオのちょっと情けない性格も良かったよ。
ワオっていうのは「和音」と書くんだね。
八百屋の息子で、そもそもなぜこういう名前なんだろ。
やっぱりお父さんかお母さんが音楽好きと言うか、
実はその道を目指していたのかも知れない。
もしくはお祖父さんかお祖母さんとか。
だからきっとピアノは小さい頃から習っていたんだろうね。

・・・で、西島秀俊さんは?
うたのお父さんだけど、既に亡くなっていて。
もしかしたら、あの写真だけで終わり?と心配したのだけれど、
ちゃんと回想シーンがあって出演してました!!
お父さんもピアニストで、うたをピアノに導いたのも彼だ。
けど、どうやら彼は自殺したようなのだね・・・。
うたは、音楽の才能とともに不吉なDNAをも引き継いでいるということか。
倉庫に眠る古いピアノ。そこはピアノの墓場だとうたは言うけれど・・・
音楽を失いかけたうたは、自分もそこに眠るピアノと同じだと思ったのだろうか・・・。
でもラストのシーンではそこに光がさし込むでしょう?
そう、決してそこが終焉ではない。
ワオとともに歩む道は、いま始まったところ・・・
うーん、よく練られたストーリーだった。
音楽も良かったけど、色調を押さえ気味の画面も美しかった。

神童 [DVD]
成海璃子.松山ケンイチ
VAP,INC(VAP)(D)


「神童」
2006/日本/120分
監督:萩生田宏治
原作:さそうあきら
出演:成海璃子、松山ケンイチ、手塚理美、甲本雅裕、西島秀俊

芸術度★★★★☆
西島秀俊の魅力度★★★☆☆(出番が少ないので!)
満足度★★★★☆

ポスター犬21

2013年11月07日 | 工房『たんぽぽ』
興味あり



「47RONIN」
といえばやはり四十七士、赤穂浪士を連想するのですが、
これはキアヌ・リーブスですよね?
四十七士とキアヌ・リーブス???
一体どういう作品なのやら、疑問符でいっぱいになりつつ
気になっている作品です。







わんこは、ボールと戯れる柴犬。
MARUちゃんの写真を観ていたら
柴犬にもとても興味がでてきました。
素朴で優しい顔をしていて
いいですよねー。
日本ではありきたりな犬種ですが
アメリカではこれ何?
といわれることが多いそうですよ。
オオカミ?と聞かれることもあるそう。
最もそれはMARUちゃんの毛色のためでもありますが。



で、47RONINの方は、CGもふんだんに使ったチャンバラアクションのようで
真田広之さんや菊地凛子さんも出演
全く自由な発想による討ち入りの物語のようです。
12月公開。
楽しみですね!

2ガンズ

2013年11月06日 | 映画(た行)
金にはシロもクロもない。金はみどりだ。



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冒頭から、銀行強盗をしようとしているお気楽そうな二人組登場。
これはオトボケ二人組のコン・ストーリー?
と思いきや、いやいや、そうではありません。
二人はメキシコのマフィアの手先としてコンビを組んでいるのですが、
実は潜入捜査をしている麻薬取締官のボビー(デンゼル・ワシントン)と、
海軍情報部のマイケル(マーク・ウォールバーグ)なのでした。
二人は互いの素性を知りません。



二人はマフィアの資金300万ドルを銀行から奪えば任務終了のはずだったのですが、
なんと襲った銀行には4000万ドルの現金が!! 
ドルで言ってもピンと来ないので、
円で言うと400億円!!(じぇじぇじぇ!)
この現金はマイケルの上司に奪われてしまうのですが、
その出自はなんとCIAの裏金。
この現金をめぐってマフィア、麻薬取締局、海軍、そしてCIAが
三つ巴ならぬ四つ巴の争奪戦。
この混乱の中、現金を奪い返すためにボビーとマイケルは手を組むのですが・・・。



それぞれに二人は「正義」のための潜伏調査をしているはずでした。
しかし、「お金」には正義も悪もなく、唯のお金。
それに意味をつけるのは周りの人間たち。
なにしろ、麻薬取引の上がりがCIAの資金として流れていたなんてのは痛切な皮肉。
まあ、そういう告発作品ではないので、
笑って済ませておけばいいのですけれど。



二人の男が反目しながらも友情を深めていくという痛快サスペンス・アクション、
まあ、楽しめました。
マーク・ウォールバーグは、やはりテディベアを相手にするよりは、
銃を手にしている方がいいですね。
さらにいえば、「極大射程」のように、
寡黙で渋い男のほうか私としては好きなのですが・・・。



2013年/アメリカ/109分
監督:バルタザール・コルマウクル
出演:デンゼル・ワシントン、マーク・ウォールバーグ、ポーラ・パットン、ビル・パクストン、ジェームズ・マースデン
軽妙さ★★★★☆
痛快さ★★★★☆
満足度★★★☆☆

「清州会議」 三谷幸喜

2013年11月05日 | 本(その他)
笑える攻防戦

清須会議 (幻冬舎文庫)
三谷 幸喜
幻冬舎


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信長亡きあと、清須城を舞台に、歴史を動かす心理戦が始まった。
猪突猛進な柴田勝家、
用意周到な羽柴秀吉。
情と利の間で揺れる、丹羽長秀、池田恒興ら武将たち。
愛憎を抱え、陰でじっと見守る、お市、寧、松姫ら女たち。
キャスティング・ボートを握るのは誰なのか?
五日間の攻防を「現代語訳」で綴る、笑いとドラマに満ちた傑作時代小説。


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映画公開が待ちきれず、読んでしまいました。
「清州会議」。
信長、光秀、秀吉・・・。
このラインのなんと面白いこと。
これらの描き方でそれぞれの著者の個性も出るので、
結末はわかりきっているものの、やめられません。


本作は、信長亡き後織田家の跡継ぎを誰とするか、
それを決めるための会議「清州会議」を描いています。
あくまでも会議なので、斬り合いはありません。
けれど、なんとか自分の有利な方向へ話を運ぼうとする、
柴田勝家と羽柴秀吉の裏工作が、会議前から炸裂していきます。


文体はすべて「現代語訳」なので、非常に読みやすい!!
そして、今どきのニュアンスにあふれた言葉遣いで、
登場人物たちの心象がアリアリと浮かび上がります。
いや、でもこれは勝負ははじめから見えていますよね。
武将としては才能が有るかもしれないけれど、単純でまっすぐな柴田勝家が
秀吉に勝てるわけがありません。
秀吉には黒田官兵衛もついていますしねえ・・・。
それにしても、お市の方の柴田勝家を見る目が厳しすぎて、気の毒なくらいです。

「体臭がきつい男の人って、年取ってもずっと臭いのね。
それどころか、加齢臭もプラスされて、なんだか凄いことになっていた。」

・・・ですもの。
あくまでも、にくい秀吉を潰すために、
その大嫌いな勝家と結婚しようというお市の方の覚悟もものすごいです・・・。


出世欲にギラギラの人、
淡白な人、
自分の役割にひたすら忠実な人、
ただのお馬鹿・・・、
何時の世にも実にいろいろな人が居て、
だから世の中は面白い!!
筋立てはわかってしまったけれど、
やっぱり映画も楽しみです!!
「笑っていいとも」に出演した大泉洋さん(秀吉役)がおっしゃっていましたが
今回は特殊メイクが多くて
彼自身も耳を大きくしているし、
信長の血筋はみな鼻筋を通しているのだとか・・・
そういったところも、なんだか楽しみです!

「清州会議」三谷幸喜 幻冬舎文庫
満足度★★★★★


ラストシーン

2013年11月03日 | 西島秀俊
古き良き“映画界”に捧ぐ



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またもや何の予備知識もなしに見ましたね。
うん。そして、初めの方でこれはホラーだったのか!!と驚いた。
「リング」や「仄暗い水の底から」の中田秀夫監督だもんね。
それにしてはバックの音楽とか色調や画質がなんだか古めかしいなあ、一体いつの作品?
と思い始めたところで種明かし。
実はここのところは1965年という設定で、
三原健(西島秀俊)が出演するホラー映画の一シーンだったというわけ。
だから、今作自体がホラー作品というわけではないんだ。
ほんのちょっと、そういう向きもあるけどね。


東京オリンピックの翌年。
テレビが普及して、日本の映画界に翳りが見え始めたという頃。
三原はいつもコンビを組んでいた女優が引退するということで、
彼まで役を降ろされてしまった。
彼自身は大スターのつもりでいたけれど、二人セットでなんぼという。
まあ、ほんの一時はもてはやされもしたけれど、あとは下降一方というところだったわけだね。
そんな彼は、珍しく撮影所を訪ねてきた妻に、八つ当たりしてひどいことをいってしまったりする。
けれど実はその時、妻はすでに事故で亡くなっていた・・・というのはまあ、中田監督らしいオチかな。


・・・というのが、本作の前段。
舞台は一気に35年を経て2000年。
同じ撮影所で、人気TVドラマ映画化作品の撮影が行われています。
そこへ、ある老人が代役を務めるためにやってくる。
それが35年ぶりにここへ来たという三原なんだ。
西島秀俊さんがどんな老けメイクで出てくるかと思ったら・・・・
残念ながら、別人でした・・・・
なーんだ、結局西島さんの出演は、あの前段だけだったということだったのね。
トホホ・・・。
まあ、そう言わないで。結構いい話だよ。
この三原老人、65歳、すっかり痩せさらばいてはいるけれど、
眼光鋭くちょっと怖いくらい。
あのあと役者をやめて一体どういう人生を歩んだのかなあ・・・。
奥さんも失くしちゃったわけだし。
そういうことには触れていないよね。
けどまあ、あまり幸福ではなかっただろうと想像はつくけどね。
しかし彼は、子役の頃から映画に出演していて、
古き良き“映画”界の体験者としてここに登場したわけ。
けれど、彼にはここで思いがけない出会いがあったりするところがミソだね。
結局、本作は、映画を愛する人々の物語なんだね。
昔も、そして今も。
色々な役割の人たちが虚構のために必死になって働いている。
それは傍から見ると滑稽ですらあったりするけれど、
一つのものを創りあげようとする気持ちは一つ。
・・・そういうことなんだろうなあ。
ところで、この撮影中の映画、ドクター鮫島は、チャラすぎでしょう。
こんな医者にはかかりたくないなあ・・・。
だね(^_^;)

ラストシーン デラックス版 [DVD]
西島秀俊,若村麻由美,麻生祐未,ジョニー吉長,生瀬勝久
ジェネオンエンタテイメント


「ラストシーン」
2001年/日本/
監督:中田秀夫
出演:西島秀俊、岩村麻由美、麻生祐未、麻生久美子、ジョニー・吉長

ノスタルジー★★★★☆
西島秀俊の魅力度★★★☆☆
満足度★★★☆☆

「ダークルーム」 近藤史恵

2013年11月02日 | 本(ミステリ)
じわじわと怖い、女の情念

ダークルーム (角川文庫)
近藤 史恵
KADOKAWA / 角川書店


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シェフの内山が勤める高級フレンチレストランに毎晩ひとりで来店する謎の美女。
黙々とコース料理を口に運ぶ姿に、
不審に思った内山が問いかけると、
女は意外な事実を語り出して…(「マリアージュ」)。
立ちはだかる現実に絶望し、窮地に立たされた人間たちが取った異常な行動とは。
日常に潜む狂気と、明かされる驚愕の真相。
ベストセラー『サクリファイス』の著者が厳選して贈る、謎めく8つのミステリ集。
書き下ろし短編収録。


* * * * * * * * * *


冒頭「マリアージュ」では、
高級フレンチレストランに毎晩一人で来店する女性が登場。
いつも料理をゆっくりと堪能し、幸せそうに帰っていきます。
でもフレンチを毎日食べるのって、実はきついですよね。
第一、ものすごくお金もかかる。
さて、この女性の行動の謎は・・・?


次の「コワス」はちょっと怖い。
明充が以前付き合っていた恋人知子が自殺します。
それは明充が別の女性を好きになり、知子に別れを告げたことが原因でした。
しかし、その後新しい彼女の行動が次第に知子に似てくるという・・・。
明充にとってもそれは恐怖なはずなのですが、
彼の最期のたかのくくり方が意外というか、
「そうなの?」と唖然とさせられるというか・・・。


「SWEET BOYS」は、今度は珍しく男が怖いストリー。
マンションの隣室同士になった男性ペアと女性ペア。
いつしか親しくなり、二組のカップルとなってそれぞれ結婚に至ったのです。
しかし、一人の女性はコドモを出産してまもなく育児ノイローゼで自殺。
もう一人の女性は、結婚前にどちらの男性とも関係があったことに悩むのですが・・・。
この物語の裏に潜む、秘密。
それはほとんど「悪意」と言っていいほどの・・・。
う~、やだやだ。


表題作「ダークルーム」は、
ある男性の身近な女性が強烈な毒を放ちます。
読んだハナから、こいつはあやしいと思ったのですよね・・・。
これはほとんど「名も無き毒」にちかい。
なんだか自分が女ながら「女って怖い・・・」と思ってしまう作品が多かったと思います。


「ダークルーム」近藤史恵 角川文庫
満足度★★★☆☆



セイフ ヘイヴン

2013年11月01日 | 映画(さ行)
ラブストーリーとサスペンスの融合



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ノースカロライナ州の美しい港町サウスポート。
長距離バスでそこを通りかかった若い女性が、
そのままそこに残り、住み着きます。
彼女はボストンに住んでいたケイティ(ジュリアン・ハフ)。
しかし、彼女ははじめからわけありです。
どうやら警察に追われて、逃れてきた。
一体何があったのか。
ケイティが雑貨屋の店主アレックス(ジョシュ・デュアメル)と心を通わせながら、
この土地に馴染み自分の安らぎの場所(=セイフ ヘイヴン)としていく様子と、
彼女の行方を執拗に探ろうとする刑事の姿が交互に映しだされていきます。



アレックスは少し前に妻を亡くし、
残された幼い息子と娘を育てています。
まだまだお母さんの思い出がいっぱいのこの家族の中に
無理なく馴染んでいくケイティの様子が心地よい。
普通はこれだけでハートウォーミングなストーリーなのですが、
彼女の謎めいた過去で緊張感も挟み、目が離せません。



そしてそこには意外な展開があるのですが、
なんとその上、最後の最後にも大きな驚きが・・・!!
ラブストーリーとサスペンスの融合。
私は楽しめました。


なんにもないけれど、家族の笑顔さえあればそれで十分。
そここそが安心できる天国のような場所



とはいえ、ラッセ・ハルストレム監督はその場所をビルの立ち並ぶ都会にはしませんねえ・・・。
いつも美しい大自然と、そこにちんまり間借りしているような
つつましい人々の生活がある。


だからなぜかほっこり懐かしいような感じがするんだなあ・・。
サスペンス風味だけれど、やっぱりラッセ・ハルストレム監督なのでした。


「セイフ ヘイヴン」
2013年/アメリカ/116分
監督:ラッセ・ハルストレム
原作:ニコラス・スパークス
出演:ジョシュ・デュアメル、ジュリアン・ハフ、コピー・スマルダース、デビッド・ライオンズ

意外性★★★★☆
ほっこりラブ度★★★★★
満足度★★★★☆