ステージおきたま

無農薬百姓33年
舞台作り続けて22年
がむしゃら走り6年
コントとランとご飯パンにうつつを抜かす老いの輝き

『カムイ外伝』、効果なし!

2009-09-22 23:26:54 | 映画

 そう、夜からの”落ち込み”防止対策は、映画を見ることだった。

 久しぶりの映画で元気になろう!宮藤官のかっこいいせりふ聞いて、崔洋一の映画作り見て、よっしゃ俺もがんばっぺ!って気分盛り上げよう!そう、『カムイ外伝』だよ。

 白土三平の『カムイ』、『カムイ外伝』、『忍者武芸帳』って言ったら、僕らの世代にとっちゃ導きの書、思想の書だからね。見ないわけにはいかんでしょ。しかも、宮藤官に崔洋一だもの。

 で、見た。ありゃりゃ!出だしから、うん?!

 僕の映画評価法の一つに、タイトルロールまたは出だし5分で引きつけられないものはダメってのがあるんだけど、『カムイ外伝』まず、ここで?マークが二つ三つ。説明から入るかよ!観客馬鹿にしてねぇ?!でも、まっ、許そう、目をつぶろう。

 一生懸命CG駆使して忍者の決闘シーン。うーん、切れ味いまいち。でも、そんなことは目的に見てないから、いいよどうでも。荒海を漕ぎ渡る和船のCG、これもちゃちだったけど、うーん、負けちゃおう。

 でも、カムイが何故か漁村に居着いちゃうってのは、どうなの?僕のイメージとしては、つねに群れに属さず独居独行するのがカムイなんだけど。さらには、あまっちょろい恋のおまけ付き。

 カムイが何故かついて行ってしまう半兵衛なる漁師(ついて行く理由もカムイとしてはあり得ない気がする)も、ただ擬餌針を作りたいばっかりに藩主の馬を殺すって、ちょっとあの時代、あり得ない話でしょ。

 さらに、カムイと恋敵になった若者が半兵衛を役人に売って、しかも一緒に村に戻るってのもあまりに無知、あまりに恋い狂い。不自然だよ。

 磔獄門になりかかった半兵衛を抜け忍二人で救い出すのはいい、目指すはアクション映画だから。でも、ありえねぇーと叫んでしまうのは、逃亡先の島の住民がみんなして!半兵衛一家とカムイを暖かく迎え入れるってこと。白土三平だったら、こんな太平楽は書かない、絶対に。村人、庶民ってものは、時に信じられないほど勇猛で時にやりきれないほど臆病で、時に反権力的で時に権威にこびへつらう。そんな二律背反的存在なんだ。白土三平はそのことのすばらしさもやりきれなさも知っていた人だ。

 結局、この映画はカムイの魅力を骨なしにしちまったんだなぁ。あのほとんど表情を変えぬカムイの虚無をありきたりの人情活劇にしてしまった。甘っちょろげにせずに、もっと原作に忠実に描いたらよかったのに。若い観客におもねったのかなぁ。とっても残念だ。若い奴らなんて相手にせず、僕ら世代をターゲットに、厳しく重い抜け忍の世界を描けばよかったんじゃないか。それの方が、若い連中だってきっと心惹かれたと思うんだけどどうだろう。

 ってことで、『カムイ外伝』は”落ち込み”に効果なし。でも、こうやって好き勝手くさしたことで、ちょこっと元気になった。これも映画の効用ってもんかな。ごめんな、宮藤官、崔洋一、って僕なんか謝ってもなんの意味もないか。でも、次回は期待してるから。『GO』や『木更津キャッツアイ』みたいなすっげー奴書いてよな。『刑務所の中』とか『血と骨』みたいながーんと来る奴撮ってよな。

コメント (4)
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”落ち込み”には作業が効く!

2009-09-22 17:59:13 | 教育

 僕は教師なので、生徒たちの相談に乗ったり、カウンセリングもどきをしたりすることが少なくない、当然か?悩んでいる生徒、落ち込んでいる生徒、自暴自棄になっている生徒、やる気を失っている生徒、いろんな悩みを聞いて、最後に僕が話す。

 悩みなんて奴は、そうは簡単に乗り越えたり、解決したりできるもんじゃない。でも、悩みを抱え続けることはたしかに辛い。心が疼く。気持ちが滅入る。頭がはち切れる。こんな難敵と正攻法で戦ってたら身が持たない。だから、悩みは悩みとしてこっち置いといて、何か作業に熱中することだよ。

 そう、作業なんだ。体を動かすのがいい。作業をこなすにゃ頭を使うから、悩みが隅の隅までこびりついてた脳のクリーニングになる。その間、しばしの間でも悩みのつらさを忘れることができる。もちろん、それで悩みが解決するってわけではない。作業を止めれば、また、悩みの虫が心をむしばみ始める。でもね、一度そうやって悩みから離れてみると、今までがんじがらめになっていた心に、ちょっぴりだけど隙間ができたりもするもんだ。時には客観視するきっかけになって悩みから抜け出すことができたりもする。

 だから、悩んでいる生徒には、悩みは悩みとして作業や日常活動に精出すようアドバイスするんだ。そうやって心の負担を軽くしながら、悩みと付き合っていく。時には忘れていく。

 何言いたいかって?だから、地区大会敗退のショックからの脱出法だよ。

 まず、僕個人については、昨日今日と稲刈りだった。これは実に効いた。ああだこうだぐじぐじ考えながら仕事してたけど、作業への集中と肉体的疲労は着実に”落ち込み”を薄めてくれた。

 次に置農演劇部員たち。明日から活動再開だ。さあ、どうする?やることなかったら、これ悲惨だよ。でもご心配なく!あるんですよ。今週末にはちゃーんと子どもミュージカルの公演が準備されてるんです。しかも、今回から一年生もキャストにはまる。ってことは新しい台本で稽古もしなくちゃならないし、何よりもかぶり物や着ぐるみ作んなくちゃなんないわけ。ほらほら作業だろ。公演予定は来週の金曜日にも入っているんでね、悩んだり落ち込んでたりする暇はないってこと。ねっ、うまく組んでるでしょ?って、別に負けること予想して組んだスケジュールじゃないけどね。

 その後も学園祭、子どもミュージカル、町芸文祭、敬老会での演歌ショーと続いて、さらには東京町田公演、・・・ここまで突っ走ってれば、”落ち込み”なんてふっとぶさ。

 もっとも、部員たちはとっくに気持ちの整理すませて、明日からの部活にさばさばと取り組む準備できてんのかもしれない。いつまでもじくじくしてんのは先生だけですよ、なんて言われないように、さらに作業を続けようっと。

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