やれやれ、また降って来たぜ。せっかく緩んで融けかけたと思ったのに。立春なんて名ばかり、まだまだ、冬は続く、雪も消えないってことだ。
隣の公民館、屋根から滑り落ちた雪で埋まってる!南側、玄関付近は、日があたるから、積もっては落ち、落ちれば融ける、の繰り返しだから、軒先に届くほどのことはない。
でも、北側は、ただひたすら落ちるばかり、積もった落雪はどんどん嵩を増して、ほらほら屋根の軒に届いちまったぜ。これじゃ積もった雪も落ちるに落ちられない。数年前、ペンキを塗り直して、積もるそばから滑り落ちるようになったのに、意味ないじゃないか。この歳で屋根に登って雪はき、なんてお断りだぜ!
もはや限度だ、軒下の雪をどかさなくっちゃ。
どうする、独りでさっさとやっちまうか?副公民館長なんだし、そのくらいやってもいいんだ。わざわざ動員かけるまでもない。独りでやった方が、よっぽど面倒ないし、地区のみんなも喜ぶだろう。
とは思ったんだが、いやいや、公民館は地域の大切な持ち物、みんなで守って行くのが筋だよな。あなた任せはいけないぜ。月1度の清掃だって、女衆が交代でやってるんだしな。これまでだって、4つの隣組が交代でやってきたんだ。その仕組みを守って行くってことも大切だ。
ただなぁ、ここ3、4年、雪少なくて、雪はき作業は必要なかったんだ。廻り番の看板、きちんと引き継がれてるだろうか?
仮にどっかで失われていたとしても、ここらで、も一度復活させておくってことも必要だ。って、ことで公民館長にご注進してみたら、なんと、館長のところには記録帳が引き継がれて来てるってこと、いやぁ、凄いなぁ、地域の決まり事を守る力。
さっそく招集がかかって、10人ほどが集まった。高齢者も増え、人手を出せない家も少なくないので、二つの隣組合同で、ってことになった。
いやぁ、早い、早い。さすが大人数だと違うぜ。軒に届く部分だけ落としておけば十分だ、って思うんだが、人が寄り集まると、競争意識か、前向きになるもんだよな。どんどん掘り進んで、地面が見えるくらいまで掘り上げてくれた。
除雪機をフル稼働して、東側を突っ切り、北側の落とした雪をさらに遠くに排雪しようって目論む人もいたが、さすがに、これは無謀、北側にたどり着く前に、作業は終了となってしまった。
よかった。これで、この冬はもう雪はき作業は必要ない。やっぱり人数だな、みんなの力だな。面倒だから一人で、なんて考えは地域を育てることにならんってことだぜ。