ステージおきたま

無農薬百姓33年
舞台作り続けて22年
がむしゃら走り6年
コントとランとご飯パンにうつつを抜かす老いの輝き

命もイネも水しだい!

2022-02-01 11:59:31 | 米つくり

 なんだって、こんな吹雪の夜に集合かけんだい!それも総会?ってありえねぇぇぇ!いつも通り4月でいいべ。この大雪じゃ車置く場所だってねえぞ。歩いて来い、ってか?もう、ぶつくさ、ぶつくさ・・・

 田んぼの水を管理する組合からの呼び出しだ。名前ばっかじゃあるが、堰の役員だしな、委任状出して家でぬくぬくってわけにゃいかんさ。完全防寒仕様にヘッドライト灯して、20分かけて、やれやれやっとだぜ。

 なしてや?選りによってこの時期って、なんだや?

 新しく借り受けることになった堰、ため池の補修工事、県の補助受けるにゃ2月いっぱいに書類整えねばならんのだと。それにはまず、組合委員の了解が大前提、この工事はぜひとも必要なんですよぉぉぉ、って陳情さんなねってことなんだ。って、ことじゃしゃあねえなぁ、この地域の田んぼの未来にかかわることだものな。

 去年も一時期、ひどい水不足だったかんなぁ。

 我が家の田はなんとかちょろちょろと流れてきていたが、下の田なんかはひどい状態、一番どん尻にある知人の田など、干上がって田面にひびが入る悲惨な状態だった。そう、10日はまったく水が来なかったんじゃねえかな。それでも、イネは強いから、その後水が来るようになって持ち直したようだが、かなりの減収間違いなしだ。

 降る時にゃ、要らねぇ!勘弁しろや!ってくらいダダ降りするのに、降らないとなったら、一粒も寄こさぬ意地ッ張りの偏屈野郎だもん、たまったもんじゃねえ。新しく水源が手に入るなら、もらっておくにこしたこたぁねえさ。吹雪の中で集まった10人の意向ははっきりしてる。

 ただ、県や町としても、金かけても将来放棄されるんじゃ、補助金ばら撒きの無駄使いって批判されかねない。先々、田んぼを維持管理して行く後継者はいるんですか?って来た。これだよ、痛いのは。

 ここら中山間地だから、農業専業て家は少ないんさ。1割程度かなぁ。それも息子は勤め人ってとこも多い。すぐ隣に工業団地あっからなぁ。将来、次の代になっても田んぼ作り続けるか?って詰問されっと、うっ!っと返答に困る人もいるわけさ。ただ、今は外で稼いでいても、親が年取れば家も継いで、田畑も面倒見る、それがここらの世代交代のあり方。となると、その息子たちが継いだ時にも米つくりができるようにしておかんなね。ご先祖様から代々受け継いで来た田んぼだもんな。

 そこらを熱く語り、さらに、国や県の補助事業は、大規模農家育成ばっか、ここらの山間地農業にゃ目も向けてくれねえだろが、なんて日ごろの不満も飛び出して、どうにか町の担当職員にも理解してもらった。

 こっちは都会から飛び込んだ新参百姓、しかもほぼ後期高齢者、息子は都会で戻る見込みなし。腹の底から、田んぼ守るとは言えないんだが、暖かく迎え入れてくれたこの地の人たちのこと思えば、やれる範囲は手伝うつもりなんだぜ。だから、訳も分からず下っ端役員引き受けてもいる。

 それと、視野を広げて世界の食糧事情や日本の国情なんか見回すと、食料生産の基盤はできるだけ保っておくって必要なんじゃねえか。きっと、食料不足の時代が来る、開発途上国の人口爆発・食糧需要増大とか、地球温暖化・農業適地の減少、地球的課題になって来るんだぜ。

 ってことで異議なし!ため池補修工事を申請する。そのために日ごろの管理必要なら、草刈りくらい使ってくれ。

 びっしり2時間の話し合い終えて、外で出てみりゃ、うわっ、車埋まってるぜ!道路もはっきりしねぇ!この雪原?歩いて帰るてのか!こりゃ遭難の恐れありだぜ!って、ぶつくさ言いつつも、地域農業の未来に微かながらも光が灯されたようで、気分ははしゃいで雪遊び、てのは大袈裟だろ。

コメント
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