なんてこったい!この救いのない終わり方は!
警察組織からはじき出されながら、独り必死でテロ情報を探ってた女性刑事の死闘が、全てムダっ!
シリアIS支配地域、身の危険を感じ脱出のために、息詰まるスパイ行為を繰り返したっていうのに、脱出・帰国(スウェーデンへ)直前、発覚して銃撃され国境直前で死亡する母親。
家族の止めるのも聞かず、シリアラッカに一人入国した最年少の妹は、突如過激思想に目覚め、せっかくの支援素組織の救出を拒み、ISにタレコミ!
スウェーデンに連れ戻された少女は、再度騙されて、ライブイベント会場で自爆???
こんなにやりきれない結末は、そうはあるものじゃないぜ。悲劇の4重層!しかも、スウェーデン国内で秘密裡に活動するISリクルーターの主犯は、どうやら生き延びてさらに潜伏していくようだし。
途中、3っつの展開がスリリングに続き、いやぁ、これはサスペンスのお手本だ、なんて気楽に楽しんでいたんだよ。深夜のスウェーデン、シリア国境の待ち伏せ、ラッカでの裏切り、3か所で走り続ける破局の物語、どう転ぶんだ?どう落とし舞い付けてくれんのさ?
なんと、なんとだぜ、最後、一気に蹴落とされた。
スウェーデンに暮らすイスラム信仰の人たちに忍び寄るISの陰。リクルーターに操られ過激思想にはまって行く若者たち、この国ばかりか、ヨーロッパのすべての国々に共通する難問なんだろう。移民、異なる民族、異なる宗教、貧富の差、差別とアイデンティティ。悩ましい行き詰まりを一気に解決してくれるISという暴力をどう向かい打つのか。個を否定することが、個の全的開放を保証する教え。一時期の勢いは衰えたものの、この魔力は今も健在、世界の鬱屈を抱える若者たちを誘っている。
現在進行形だからこそ、このやりきれない結末なのだろう。うんざりしつつも微温湯の生活に流される日本じゃとても描き切れない結末だ。組織に振り回され、己の判断の過ちから情報提供者を殺し、荒涼とした岩原を祖国に戻る女刑事の重い足取りがすべてを語り尽くしている。
この映画を紹介してくれたのはSさん、お子さんとお孫さんがスウェーデン在住だ。世界は、Netflixでつながっている。
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