えっ、アマゾンプライムで『シビルウォー』見られるの!?
うわっ、ありがてぇ!
映画館まで車で往復2時間超って山里に暮らす身にゃ、思いがけないプレゼントだぜ。見たかったのよ、これ。
見掛けのネトフリ韓ドラなんて今夜はお預け、普段1時間枠の映画・ドラマ鑑賞タイムを2時間に延長して、飲み物、ウィスキーのお湯割りも5割増しで準備して、さっ、見るぜ『シビルウォー』。以下ネタバレあり、注意。
面白かった!でも、期待した今時リアルの政治向きのアプローチはほとんどなし、もちろん、内戦の実態の描写が続くんだが、内戦のきっかけは何か?どうして2州の反乱なのか?互いの主張の違いは?利害はどう対立しているのか?なんて、すべてスルーして、
何故か、内戦!
戦場カメラマンが、追い詰められつつある連邦政府大統領にインタビューすべく、ワシントンDCを目指す、ロードムービー?
途中出会う内戦の実相、だれが見方で、だれが敵だか、判然としないままに次々危機に遭遇する記者4人。
狂ったように捕虜を機銃を掃射して皆殺しにする男、静まり返った遊園地に潜むスナイパー、それに片時も照準器から目を離さず対峙する兵士、虐殺した大量の遺体を大きな穴に埋めようとする兵士数人、見付けられ射殺されそうになる記者、中国人と出自を名乗った瞬間に射殺されるアジア系、これでもかとばかりの残虐の数々、
と思えば、内戦の進行など毛ほども感じることなく普段の暮らしを続ける街、記者たちの家族もどうやら、そのような部外者として地方で暮らしているようで、その落差にぞわっとする。
そして、ラスト、政治中枢での市街戦。まるで戦国時代雑兵の手柄争いのように兵士の一団が殺到し、射殺される大統領。
だが、敵対する者たちの区別はつかない。非道な行為はどちらのものとも判定しない。主張に大した違いはない、どちらの立場にも正当性や妥当性なとど認めない、これが、この映画のシビルウォーに対する見方ってことだ。
緊迫感は持続し記者とともに疾駆し続ける。飽きることはまったくなく最後まで引き回される、それには惹きつけられた。
だが、面白さのあらましは、内戦にではなく、戦場カメラマンの、決定的ショットへの渇望、業とも言える執念の凄まじさだ。
それと伝説のベテランに手ほどきを受けた若手新米カメラマンの成長物語だ。
自らの命を盾にして新米を守り育てる古手の記者たち、何度も恐怖の地獄を体験しつついっぱしのカメラマンへと変貌していく若手。
功名に走る兵士たちと大統領官舎に乗り込み、決定的瞬間を手に入れる記者とカメラマン。
彼らを駆り立てて来た究極の動機、大統領の最後のインタビュー、死に臨んでのその一言、それは・・・
まっ、最後のクライマックスくらい、お楽しみ、ってことにしておこうか、って、散々っぱらネタバレしといて、それかよ。
と、書き散らして来て、気づいた。
今こそ、シビルウォーが描かれる時代!それは間違いない。世界中あらゆるところで、鋭い対決が、それも国家間だけではなく、国の中で、人々の間で抜き差しならぬ事態に突き進みつつあるんだから。
そして、それは善悪とか正邪とかとはおよそ縁のない対立なんだってこと、そこだったのかもな、描きたかったのは。
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