さぁて、今年は登れるかなぁ?_
福島県境、中ノ沢山の登山道整備だ。以前、この峠道は福島県飯坂と結ぶ大切な生活道、できればここに自動車道路を開通して、地域振興を!と、毎年、地域上げての民衆登山が行われて来た。
が、福島とは栗子トンネルで国道13号が抜け、さらにそれに沿って高速道も開通してしまった。町の北側では、七ヶ宿を通って宮城県ともつながってしまっている。今さら、この旧道が脚光を浴びる可能性はほぼゼロに等しい。開通悲願の登山に意味はなくなってしまったが、まぁ、この地域の大切な山、それと道路開通に向けた先人たちの思いを受け継ぐって意味もあって、地区民登山は細々と行われている。
子どもたちも含めたかだか数十人が登るためとはいえ、登山道の整備は欠かせない。地域公民館の役員を中心に草刈り登山が行われている。
集まったのは18名、でも、山道を除草機を使いながらたどれる人数となると、わずかに6名。残りは登山道までの取り付け道路の整備に当たる。
年齢見たんだろうな、どちらの組に入れるべきか躊躇したようだが、これまでの3回の経験もあって、山登り組に組み入れられた。そうだよ、そのために来たんだもの。まだまだ行けるぜ!昨日だって6キロ走ってんだ。
ただの山歩きなら、まったく問題ないんだが、草を刈りながらの登山となると、脚力以上に様々力が必要になる。まず、一番の難点は、足元に注意を払えないってことだ。高速回転する刈り刃を見てなきゃならんからね。そこら中に岩やら灌木やら窪みやら、注意を怠ると刃が弾かれて火花を飛ばす。足元は、足裏のセンサー頼りだ。おっと!石の上だぜ、ほら、苔で滑った。あらら、崖でざれてるぞ、そうだ、前回ここで数メートル沢に滑り落ちたんだった。注意、注意!
歳とって、何が変わったって、バランス感覚が低下したこと、これがめっちゃ大きいんだ。ちょっと、重心を失うと支えてられない。すぐによろめき、立て直せずに手を突いてしまうんだ。なんだって、こんなことで転ぶんだよ!ってついつい自分に毒づいてしまう。だから、山登り、それも草刈り機操作しながらの登山となれば、十二分に気を付けなくちゃならないんだ。これが一番の厄介だな。ささいな段差、一瞬の滑り、わずかな踏み違いでも、機械もろとも転倒しかねない。下手すりゃ大怪我だ。もしものことがあれば、それ見ろ、年寄りの冷や水が!って顔しかめられるに違いないんだ。これまで以上に細心の注意を払いつつ歩を進める。
それでも、年に一度の自然界真っただ中、ブナの大木は待っていてくれたし、
アジサイも可憐な花を咲かせている。
梅雨時、雨がいっぱい降ったので、沢の水もたぎり落ちていて、気持ちよい。
猛暑日突入で、沢筋の山林と言っても、やたら暑い。先頭のリーダーは蜂に刺されたって、これまた要注意だ。
今年は、3回目で慣れたということもあって、この後登る子どもたちの目線に立って草を刈った。足場の悪い岩の周囲とか、滑落しそうな個所とか、よく見えるようにきれいにした。丁寧な仕事のせいで、8割がた登ったところで、燃料が切れた。組んで刈っていた人は4サイクルエンジンの機械だとのことで、混合油の予備はないとのこと。以前の2回は満タンで最後まで行き付けたのにぃぃぃ・・・。まっ、残りは後続の二人に任せよう。
止まった機械を片手に最後の急坂を登る。これ、たしか300メートルほどのはず。GPS時計はすでに1.8キロ、えっ!たった!!そう、GPSは傾斜は認知外だからね、実際の踏破距離はこの1.5倍くらいかな。
真夏の日差しは強くても水蒸気多く、眺めはもう一息だったが、置賜平野の半分を見晴らす絶景だ。
赤とんぼ舞う山頂で先導の二人と後続を待ち、下山開始。
登りは1時間半かかったが、下りは30分だった。膝が笑うことなく、転んだり滑ったりもせず無事、登山道入口まで帰り付けた。ふぅ、この調子なら、もう一年は同行できそうだぜ。って、もうこの登山道整備、体力チェックテストになってるな。
最高点は869メートル、高度差は310メートル。昼飯前?の登山としちゃ、手ごろだよな、なぁんて、疲れ果てたくせに。