自然治癒力セラピー協会=Spontaneous Healing Therapy Japan

自然治癒力を発揮させるために、心と体の関係を考えます。

二木医学博士の”生命素”=”類脂体”の働きとは?(5)

2018年12月24日 | 自然治癒力・生命力・発揮する考え方

 

胆石 と 類脂体の関係性・・・ 2018.12.24

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途中、風邪とインフルエンザの臨時投稿をしたが、

今日は再び、二木医学博士の名付けた生命素という、

類脂体の話の続きである。

 

類脂体を生命素と、博士(*1)は名付けている理由は、

生命的に活発に元気に平常に体が機能するために

なくてはならない要素だからだ。

この働きは人間の生命の素と言ってよいと、博士は言う。

 

”これが豊富ならば、長生きするが欠乏すると死んでいく

と自著(*2)に書いている。

 

あまり、聞きなれない、この類脂体には、特徴がいくつか

あって、一番めの特徴は、先回述べたように、水と脂の

間体で、脂の形をしているのでドロドロしていると

いうことだ。 


ドロドロしてはいるが、水に溶ける性質を持っている。

 類脂体の第二の特徴は、固形と液体の中間体であるということ。

結晶体ということは固体であるのだが、実際は集まると

液状を呈している。

“液状結晶”という。

 

例えば、血液が例である。

固形であるのに、血管の中では液状であるから、

液状結晶状態ということになる。


他の例では、松脂(まつやに)がある。

松の木の毛細管の中で、葉から根っこへと流動体で

上下運動しているが、毛細管が傷つけられて木の外に

松脂が出てくると、粘り気ある液状に代わりさらに、

体へと変化していく。

 

こうして、血管や松脂の例でわかるように、必要な場所

で液状になって活動しているのは、類脂体の生きている

証である。

 

ところで、この働きが弱まると、どのような症状となって、

人の体に出てくるのだろうか? 

胆石”を博士は取り上げている。 なぜ、体の中で、

固体である石ができるかというと、脂体の働きが

弱くなっているからだと博士は以下のように、指摘する。

 

“類脂体の性質が衰えると、人間の体の中に石ができたりする。

膀胱結石、胆のう結石、腎臓結石、というようなものが

できるのは、すべて類脂体が非活動的になったからである。


これを起こさぬようにするには、生きた物を食べなくては

ならない、

野菜類、果物類を食べると、この石でさえ、溶けるよう

になる。“(引用終わり)

 

類脂体の第三の特徴は、無機物と有機体の中間体であると

いうことだ。

 

たとえれば、木の根に加里肥料などの有機物を与えると、

植物の根の膜(まく)の一枚を通して、その植物全体を

有機化してしまう。

 

それが活動性の類脂体の顕著な特徴で、人間体でも

同様の働きをする。

博士の言葉を引用。

“人間の体内にあって、燐でもなんでも有機化させて

いるのは、類脂体の働きである。

そうして、その有機化された無機物を今度は必要に

応じて、歯とか骨に無機物として置いていく。

また帰って行って、無機物を有機化して持ってくる。

その代わり、体が酸性体質になったら、歯も骨も皆、

溶かしてもっていってしまう。

そういう自由自在の働きをするのである。”(引用終わり)

 

類脂体の第四の特徴は、死んだ物と生物の中間体に

なっていることだ。

生きているように見えて、死んだように動きがなく、

繁殖もない反面、死んでいるように見えて、生きている

働きを突然する。


玄米が完全食というのは、玄米の中の類脂体が人間の

生命力を高め、血液の粘りを薄め、ラサラした血を

つくり、生命力の枯渇を防ぐからだと博士は言う。


類脂体が人間の体の健康に影響を与えていることは、

納得できそうだ。

しかし、活動的な類脂体を取るということが大切で

あって、死んでしまった、類脂体では、働きが期待

きない。

だからこそ、博士は玄米食を絶賛している。

玄米食には、類脂体が、活動的なまま含まれているからだ

 

一方、普段私たちが食べている白米ではどうだろうか?

白米を食べるために、コメの皮の部分を捨てられている。

博士はこの皮の部分に栄養素が含まれているというが、

面白い喩えをしているのでご紹介したい。


”たとえば、リンゴは皮のままならば、無毒である。

皮をむいておくと、実のほうが茶色に変わる。

これは一種の腐った状態で、毒でないとはいいきれない。


また、卵を中身と殻と分離しておくと、恐ろしい毒になる。

そんな卵を食ったら、ひどい中毒を起こす。

また、空気を酸素とチッソとに分離したらどうなるか、

窒素を一呼吸したら、世界の人間は一分間に皆、

死んでしまう。


また、酸素を分離しておいたら、タバコ一本吸っても

世界中焼けてしまうのである。

空気中に窒素という毒があるから、空気を吸っては

いけないといったら、大変なことになる。


塩だって、クロール、ナトリウムが入っているから、

これを分解すれば、クロールは毒ガスで、ナトリウムは

人間の体を腐敗させる恐ろしいものであるから、

塩を食ってはいけないというのは間違いである。

 

それと同じで、分析したり分解したりしてはいけない。

天然そのものには毒はない。

空気だって、光線だって 水だって、その通りで、紫外線

にばかりあたっておれば、人間は死んでしまう。

だから、この節の学者は行き過ぎたことをして、

自殺研究に陥っているようなものである。


渾然融和した状態へ戻ってこなければならない。

玄米というのはその意味で渾然融和しているのだ。”(引用終わり)

 

ここで次のような疑問を持つ人もいるだろう。

”それでは、生きている類脂体をとる、玄米でそれを

補給するといっても、炊いて食べては、局は類脂体

は死んでしまうのでは?”という疑問だ。


野菜でも玄米でも煮炊きする前は確かに生きているが、

熱を通したら、死んでしまうのは実だ。

士はその問いに次のように答えている。

”生きた鼠を猫が食う。噛んでいる間にねずみは死ぬ。

胃の中にはいれば、鼠の肉も、みな煮られた肉の

うになって、胃の中の胃酸で煮られてしまう。・・


であるから、どうせ、生きているものを歯でかんで

殺し食べても胃の中で死ぬのだから、いきたものを

前に煮炊きして、すぐ口に運ぶ分なら、かまわないだろう。” 


”しかし、死んでからしばらくたったものはいけない。

なぜかといえば、生きた物を食べた時、胃の中で

殺されるが、その時にはまだ、復活性がある。

すなわち鼠の血液はみな、猫の蛋白、猫の血液に復活する。

それが、死んだ食べ物を食べるとそうはいかない。・・・

殺して間もない、生きがよいのを食べるのが

よろしいのである。”(引用終わり)

 

 

*1)明治6年 秋田佐竹藩の藩医の家に生まれる。

20歳までいろいろの病気に悩み、玄米食の実行により、

健康となった。

明治34年東大医学部卒、駒込病院勤務中伝染病の研究

をしながら、栄養学的に食物の研究に努力する。


ドイツに留学し、天然免疫性に関する医学界に

おける世界最高の業績を残す。

帰国後、赤痢駒込菌を発見し、鼠咬症病原

スピロペーターの発見によって、学士院の恩賜賞

を受けた。

かたわら、二木式腹式呼吸を発表、玄米・菜食、

すなわち完全食を提唱した。

その間、当で愛教授、都立駒込病院長、

日本学士院会員、養生会会長、豊島丘女子学園理事長、

修養団団長、その他多くの要職を兼ねる。

藍綬褒章を賜り、その後昭和30年11月3日、

文化勲章を授与せられた。

 

*2) “健康への道” ~完全正食の医学~ 

東京書院発行、昭和32年

 

 

 

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