”生まれ変わり”の”舞台”選択 2023年2月4日
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1月30日では、生まれ変わる予定になった、Sが生前の行いを
裁かれたうえで、その点数にふさわしい’生’の設定舞台を
選択するところだった。
天使たちは、以下のような選択肢を、魂Sに提示する。
候補①
肥満気味のドゥオルニュ夫妻。
人柄は優しく思いやりがある人間。
飲食業を営む。客があまり来ないので、子供として生まれてきても
残り物しか食べさせない。
得意料理はラングドック風シチューとシュークリームの
チョコレート仕立て。
残り物はこれになるので、子供として生まれれば、たちまち
親のような肥満になること請け合い。
候補②
ポレ一家。父親の職業は煙草や。父親はヘビースモーカーで
大酒飲み。
妻は読み書きができないが夫に対し従順。
夫は泥酔状態になると、家族の誰彼かまわず、暴力を振るう。
ここに子供で生まれれば、‘革ベルトの鞭が雨あられのように
降りそそぐ’こと請け合い。
候補③
ド・スュルナック夫妻。上流階級。
スポーツ好きで若作り、常に流行の先端をいく、友達感覚の夫婦。
夜遊びが派手で世界中旅している。
ここに子供として生まれれば、好きなことをなんでもさせて
くれるが、親が非常にエネルギッシュなのでそれと対照的に
目立たず、引っ込み思案の子供に育つこと請け合い。
そういう子供になれば、親に嫉妬し、その後、親を憎む人生
を歩む。
親たちは自分たちの生活を楽しむことで手一杯で、お互い
愛し合っているので、子供への関心は薄くなる。
だから、子供として生まれれば、引っ込み思案、親を怨み憎み、
怒りっぽく気難しい子供に成長すること
請け合い。
親は60歳になっても若々しいのに対し、あなたは20歳ですでに
小さな老人のように老け込むだろう。
自分の両親を憎むことを認めたがらないから、環境を、全世界
をあなたは恨むようになる。
候補④
ゴムラン夫妻。老夫婦。
子供はできないので、体外受精技術によって、閉経した妻に
授かった子供として生まれる。
あなたはこの家庭に思いがけない贈り物として迎えられる。
甘やかされ、大事にされ、あなたも、両親を愛し、崇拝さえする
ようになる。
あなたは彼らを愛するがあまり、家族の絆、殻から出られなくなる。
いつも家に閉じこもって、ほかのものに眼を向けることさえでき
ない。
母親を愛するあまり、どんな魅力的な女性すら、母親にはかなわない
と信じ、どんな男性も自分の父親ほど、賢くて物分りが善い人
はいないと思い込む。
両親は年寄りであなたが若いうちにこの世を去る。
幼いあなたは孤児として残され、彼らが早く逝ってしまったことに
悲しみながら暮らしていく。
候補⑤
シルプール夫妻。
あなたが受胎しても生まれる前に離婚する。
あなたは母親に育てられる。
彼女には恋人ができるが、あなたを嫌うようになる。
あなたのせいで恋人に捨てられないかと母親は恐れ、あなたが泣けば
叩いたり、恋人が来ればあなたを戸棚に押し込めたりするだろう。
別れた父親は、週末にあなたと会いに来るが彼もあなたより、
愛人たちのほうを大切にする。
ただ、長所もある。あなたの心には、人生の復讐をしたいという
欲望が生まれる。
母親を思い出させるすべての女性を嫌い、無関心示すが、かえって、
それがあなたの魅力となり、多くの女性があなたに惹かれるよう
になる。
女性のみならず、男性も憎む。
父親を想いだすからだ。
そのため、あなたは、彼らを支配したいと権力を渇望するように
なる。
不幸な幼年時代を送る代わりに富や名声を手に入れる。
(以上引用終わり)
さて、このリストを見ながら、とまどい、途方にくれる魂Sはどんな
決断をしたのだろう。
迷える魂に、天使ガブリエルは次のように言う。
(以下引用)
“マイナス230点では、あなたのために用意できるカップルは
これだけだ。
太ったレストラン経営者夫婦、大酒飲みの煙草や夫妻、精力的
なブルジョア夫婦、子供を甘やかしすぎる年寄り夫婦、離婚した
意地悪夫妻、どれか選びなさい。
そうしないと、健康に不安をもって生まれる子供になる決断
しか残りません。・・・
第三世界に生まれ変わるという選択肢も残されている。
満腹になるまで食べることはできないが、高温の気候の
恩恵に浴することはできるかもしれない。“(引用終わり)
こうしてみると、どこまで本当の話かは論議の余地があるにせよ、
それなりに、あの世のフィクションとして読んでも、納得できる
気がした。
少なくとも、生まれ変わりとは、まだこの世で果たせなかった、
目的の’何か’を、引き続き、実現するために、娑婆世界へ戻ること
だと、わかる。
この世で果たせなかったこと・・それは何??、
一度死んで、こうして裁きを受けて客観的にわかることも
あるだろうし、なんとなく、生きている現在、心奥では
気づいている人もいるだろう。
いずれにしても、自分の短所・長所を含めて、環境や教育
に生まれながらにして、左右されている部分は否めない。
そうした事も、もしかしたら、生まれ変わる前の”魂”が
わかっていて、親や環境を、選んできたのかもしれない。
だとすれば、現在の自分を分析して、悩んだり、苦しん
だりする前に、それも、自分が克服できるための
ハンディーと、割り切って、”魂”的立場から、今
生きている人生舞台を眺めるゆとりが必要かもしれない。
そして、その演出家は、私であり、その主役はもちろん、
私であると思えば、誰のせいにすることなく、舞台の筋書き
を自分なりに納得できるようにしようと、前向きな創作意欲
が出てくる可能性があるのだろう。
引用箇所(*1)~“タナノート”
ベルナール ヴェルベール、
日本放送出版協会、1996
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